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2004年12月29日(水)
「バカバカしくもマジメな」節約術

「トンデモ本・女の世界(下)」(と学会著・扶桑社文庫)より。

(『月14万円で夫婦2人が暮らす法』(吉田浩著)への田原総一郎さんの書評で、引用されていた「節約術」あれこれ。)

【とはいえ、夫婦二人が月14万円で暮らすというのは、現代日本の物価事情から考えると、とてつもなく困難であるということはまちがいない。なにしろ独身男でも月14万円で暮らすのは至難のワザなのだ。それを二人で、となるとその茨の道は想像を絶する。そして実際、想像を絶しているのだ。本書を彩る我が目を疑いたくなるような豪華絢爛な節約術のオンパレードは、貧しいころ誰もが一つや二つは実践したかもしれないが、おおむね見栄と外聞が災いして、捨ててしまったものばかりである。中でも印象的なものを一部あげてみよう。

1.タバコは人にめぐんでもらえ。シケモクを使って地球に優しいリサイクル。

2.飲食店では財布を忘れたふりをする。1円でも持っていれば食い逃げにはならない。

3.小銭はたびたび借りて忘れよう。借りるなら気の弱い人から借りるべし。

4.ジャンボメニューに挑戦しよう。ラーメン・カレー・餃子など「食べるとタダ」

5.雨水も用途に合わせて利用しよう。雨の日は天然シャワーを楽しむ。

6.終電がなくなったら代々木公園に行け!ホームレスと仲良くなればタダ酒も飲める。

7.家の中ではじっとしていろ。老人の生活を見習えば消費カロリーも少ない。

8.病気にだけは絶対になるな。長年の苦労が一瞬にしてパーになる。

9.子供は家で産もう。ただし、周囲の協力がある場合に限る。

10.究極のトイレ術は3回に1回流す。昔は荒縄1本でお尻を拭いていたのだ。

11.飲み会では率先して幹事になろう。苦労もあるがさまざまな特典もある。

12.お金持ちの友達を作ろう。エビダイの論理でビッグなプレゼントをもらう。

13.友達の会社の保養施設で遊ぼう。会社の福利厚生を利用してレジャーを楽しむ。


 肝心なのは、こうして本書で紹介される一連の節約術が「バカバカしくもマジメな」もの、要するにユーモアの観点から発案されているということだ。したがって本書は厳密な科学データや緻密な理論から導き出された財テクといったひたすらマジメな倹約術の類似本とは縁もユカリもない。
 自分(たち)の大事な何かを捨ててしまえば、頭を使わなくてもできるかもしれない、いや、できたらいいなあ、そんな選りすぐりの「バカバカしくもマジメな」節約術を実に懇切丁寧にレクチャーするところに、本書の真骨頂がある。】

〜〜〜〜〜〜〜

 まあ、ここに挙げられている「節約法」については、「ネタだから、あんまり本気にしないでね」という感じです。確かに「節約」にはなるかもしれませんが、こんなの全部実践していたら、体も壊すし、友達もいなくなること確実ですから。
 それにしても、「いきなり!黄金伝説」の「1ヵ月1万円生活」などの影響もあって、いろんな「節約術」というのが世間に溢れています。ああいう番組の内容には極端なものはあるとしても、実際に生活に取り入れている人も、けっして少なくはないのでしょう。
 しかしながら、ああいう番組で取り上げられている「100グラム1円の肉」とか「1個1円のじゃがいも」なんていうのは、確かに安いのですが、僕は実際にあれを買いたいとは思いません。「安いから質に問題がある」ということは無いと思うのですが(「客寄せのための商品」ですから、それで食中毒でも出たらえらいことだし)、その「安い品物」を手に入れるために、あのオバチャンたちが密集している中に自分が入り込んで商品を手に取るだけの気合があるかと問われたら、「うーん、お金出すから、ああいう鉄火場に関わりたくないなあ」と答えます。
 「お金の節約」とはいうけれど、その一方で、その「節約」のために「時間」とか「体力」を「お金の節約分」以上に削ってしまう場合も多いのではないでしょうか。逆に言えば、「お金というのは、時間とか手間を節約するために使うもの」とも言えるのだし。
 「収入を増やす」ことができれば「支出を減らす」のと相対的には同じ効果がありますから、「そんな時間があるなら、バイトでもしてもっと稼げばいいのに」とも思うのですが、現実には、なかなかそんな都合のいい「稼ぐ方法」がないから、「節約術」をやるしかないのかもしれませんけどね。
 ネット上に氾濫している「サイドビジネス広告」をみると、「これだけばら撒かれているというのは、運営側にはそれだけのメリットがあるんだろうなあ」とも思いますけどね。もちろん、一般の「参加者」は食い物にされるだけでしょうが。
 
 でもなあ、確かに「見栄」っていうのが無ければ、けっこう節約できるのかもしれないな、という気もするんですよね。
 節約するのが生きがいっていうのは、他人からするとちょっと寂しいけれど、実際は、スーパーで「1円でも安く!」なんて言いながらパチンコ屋で千円札をどんどん投げ込んでいる人なんてのもたくさんいるのだから、「節約」というのも一種の快楽なのかもしれません。