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2004年11月07日(日)
「オリックス・バファローズ」から逃げ出す人々

時事通信の記事より。

【分配ドラフトを翌日に控えた7日、オリックスと近鉄がそれぞれ最後の全体練習をした。
 前日、球団から近鉄・礒部外野手のプロテクト除外を説明され、個別の意思によってプロテクトのメンバーが決まったことに「正直、モチベーションが下がっている」と川越投手は話した。早川外野手は「(どちらに行くか)少しどきどきしている。プロテクトは拒否できないものだと思っていた」と球団の姿勢を批判した。
 近鉄は、練習終了後に選手会長の礒部が「チームはばらばらになるが、近鉄のユニホームを着てやったことに誇りを持って新しい所でも頑張ってほしい」とあいさつし、一本締め。プロテクト入りが確実な北川は「プロテクトされるのは選手としてはうれしいが、気持ちとしては合併球団ではやりたくない」と複雑な表情だった。】

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 新規参入球団「楽天ゴールデンイーグルス」にすっかり話題を奪われてしまって影が薄くなった観もある合併球団・オリックス・バファローズですが、両チームに振り分けられる形になる選手たちの気持ちには、複雑なものがあるようです。
 野球選手としては、実力を評価されて25人のプロテクト枠に入ることは名誉なことだとわかっていても、オリックスというチームは年俸や待遇などで「渋い」と言われているチームですから、とくに旧近鉄の選手たちにとっては、合併球団入りは内心歓迎したくない心境なのかもしれません。
 どうせ新しいチームでやるのならと、資金も豊富そうでゼロからの出発という楽天に魅力を感じる選手も多いのでしょうし、あわよくばこの機会に他の人気球団に移籍を…と考えている選手もいるようです。
 近鉄の選手会長で、合併に最後まで抵抗した礒部選手は、最後まで「心情的に合併球団でプレーするのには抵抗がある」という意志を貫いて、結局、プロテクト枠を外されました。今日の報道では楽天でプレーすることになりそうですが、オリックスの川越選手のコメントの【「正直、モチベーションが下がっている」】というのは、新球団の選手たちの本音なのではないでしょうか。
 選手会長として合併を阻止できなかった悔しさは理解できるのですが、だからといって、自分の責任の中で誕生した(とはいっても、誰が選手会長でも、あの合併劇を阻止することは難しかったとは思いますが)「オリックス・バファローズ」に入りたくない、と元選手会長が駄々をこねるのは、周りの選手からすれば、あまりいい気持ちにはならないでしょう。
 「礒部は、自分が球団にモノが言える立場であることを利用して、逃げるのかよ…」と内心面白くなく思っている選手もいそうです。
 実力社会だから仕方が無い面もありますが、多くの選手たちは、「契約してもらえるだけでありがたい」と、自分の身の振り方を天に任せている状況なのに。
 メジャー挑戦を表明している中村選手や合併球団入りに消極的と言われている岩隈投手などにしても、立場の強い選手たちは、結局はこの合併劇でも自分のワガママを通そうとしている姿が目立っています。中村選手などは、近鉄への愛着って言うけれど、今年の成績では不良債権と言われても仕方ないですし、梨田監督の下では、選手起用に対して自分が親交のある選手を起用するように口出しをしていたという噂もありますから、合併新球団としては「選手としては惜しいけど、あの年俸だし、メジャー行きでもいいかな…」というのが本音かもしれません。

 礒部選手が近鉄消滅が決まったときに流した涙は、けっして嘘ではなかったと思います。でも、他人は「そのあとの身の振り方」について、けっこう厳しい目で見ているものです。合併球団入りを自分がイヤだと思うならなおさら、率先して合併球団でプレーするほうが「責任者としてあるべき姿」だという気がするんですけどねえ。イヤだと感じている選手は自分以外にも大勢いるわけだろうし。
 「選手会長だったから、合併球団でプレーするのはイヤ」なんていうのは、「船長だったから、沈んだ自分の船なんか見るのもイヤだ」と言っているのと同じなのでは。
 こういうゴタゴタを見ていると、「結局、こういう『自分さえ良ければ』という姿勢が、近鉄を潰し、野球界を衰退させているんじゃないか?」とも感じられるのです。