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2004年08月12日(木)
失望のローレライ

「鳥頭紀行〜くりくり編」(西原理恵子・ゲッツ板谷・鴨志田穣、角川文庫)より。

(「ドイツロマンチック街道・団体ツアー」に参加した西原さんたち一行が、有名な「ローレライの岩」を船で通ったときのエピソード)

【おお おお おお…
 ローレライの岩にさしかかったとたん、船内500人の世界の老人観光客が反町。
 みんな泣いてました。

「シンガポールのマーライオンより」
「ベルギーのしょんべん小僧より」
「サッポロの時計台より」
「コペンハーゲンの人魚姫より」
「おとうさんうちの近所のお寺さんのほうがなんぼええか」
「ワシはフマンジュウの方がええな」
「高知県のはりまや橋とはタメかも」

 ただ山がめくれて地びたが見えてるだけのローレライ岩。】

〜〜〜〜〜〜〜

 ああ、わざわざドイツまで行って船にまで乗って、こんな「脱力系観光スポット」にヒットしてしまうなんて…と思いつつも笑ってしまいました。
 本当に「名所」と呼ばれるところが、必ずしもすべて「誰が観ても面白い」というものではないことは確かで、むしろ、こういう「脱力系」のほうが多いような気もするくらいです。
 ちなみに「ローレライ伝説」というのは、【ローレライが歌を歌って、船を迷わせて沈めてしまうという、ライン川を通る船の事故があまりにも多いために生まれた伝説】なのですが、なんでも、このローレライ岩の付近は川が急カーブしていてあまりに危険なので、数度にわたって河岸を爆破しているため、現在観られる風景は、伝説が生まれた時代のものとはだいぶ様相が異なっているらしいですけど。
 そして、この「ローレライ岩」は、「世界三大ガッカリスポット」と一部で言われているとかいないとか。
 確かに、わざわざライン川を下ってきて「山がめくれて地肌が見えるだけ」では、ガッカリもしそうな感じです。
 あとふたつは、確か、ベルギーの小便小僧と何かもうひとつだったような…
 ちなみに、僕の知る範囲での日本の「三大ガッカリ観光スポット」は、この文章内にも出てくる「札幌の時計台」(イメージよりも小さいし、5分観ていれば飽きる)、「高知のはりまや橋」(行ったとき、「えっ?これ、っていうか、どこが橋?って感じでした)、長崎のオランダ坂(単なる石畳の短い坂以外の何物でもない)です。次点としては「中途半端に広い砂場」という感じだった「鳥取砂丘」でしょうか。鳥取砂丘の場合は、交通の便が悪いだけに、「ガッカリ度」が倍増してしまったような気もします。
 まあ、「人は美味いものを食べると沈黙するしかないが、不味いものには雄弁になる」という言葉もありますから、話の種としては「ガッカリ観光スポット」というのは、なかなか悪くないんですけどね。
 むしろ、楽しそうに「ガッカリしたよ!」なんてコメントする人は多いですし。
 …などと、気を悪くされたかもしれない関係各位のために、フォローしてみたり。

 ガッカリできるのも、実際に自分の目で見た人間の特権ですから。