初日 最新 目次 MAIL HOME


活字中毒R。
じっぽ
MAIL
HOME

My追加

2004年08月01日(日)
理科の勉強なんて、実生活では役に立たない!

西日本新聞の記事より。

【「理科の勉強は実生活では役に立たない」と感じている子どもは小学六年で四割弱、中学三年で五割強に上ることが、福岡県教育委員会の二〇〇三年度学力実態調査で明らかになった。結果を受け、県教委は「日常生活と関連づけて学習することが必要」として八月二十三日から福岡教育大で理科教師を対象とした研修を行う。

 調査は昨年十一月に中学三年約二千八百人、今年二月に小学六年約三千八百人を対象に、県教委が作成した学力テストとアンケートを実施。教科ごとに、学習内容が「生活の中で役に立つと感じることがあるか」と尋ねたところ、理科は「ない」「どちらかといえばない」との回答が小六で38・9%。算数(12・8%)、国語(22・9%)、社会(29・8%)を大きく上回った。

 さらに、同じ質問を中三にしたところ、理科は53・2%が否定的な答えで、国語(33・5%)、英語(34・3%)など主要五教科で最も高かった。学力テスト結果は、中学理科の平均正答率が53・9%と最も低く、県教委が難易度に考慮して設定した理科の「設定通過(正答)率」の62・5%を大幅に下回った。県教委は「科学の基本概念を覚えることに重点が置かれ、実生活でのかかわりを考察させることが不十分だった」と分析。

 一方、理科を「好き」「どちらかといえば好き」と答えたのは小六で72・1%、中三で69・5%と、いずれも全国平均を上回った。県教委義務教育課は「一概に“理科離れ”が進んでいるとはいえない。教師の努力次第で子どもは変わる」とし、八月二十三日から三日間、福岡教育大で小中学校の教師四十人を対象に理科の研修を行う。大学教授らが講師となり、実験データのまとめ方や教材の工夫などを指導する。】

〜〜〜〜〜〜〜

 「こんなこと勉強したって、大人になっても役に立たないよ」
 僕もそういう学生生活を送ってきましたし、おそらく現在でも、大部分の学生はそうなのではないでしょうか?
 そして、このアンケートで「理科」は役に立たない、と答える子どもたちの気持ちは、なんとなく理解できるような気がします。
 国語だったら「やっぱり漢字が読めたり、ある程度は正しい日本語が使えないと恥ずかしい」と思う機会はあるでしょうし(最近はワープロがこれだけ普及してきましたから、僕もすっかり漢字に弱くなってしまったのですが)、数学は「身近な金額の計算くらいはできないとみっともない」、英語は「これからの国際化社会には必要」、社会は「日本の歴史くらいは常識かな?」まあ、こんな感じなのでしょう。
 でも、理科というのは、学科そのものが「薀蓄の学問」みたいなところがありますし、確かに「何の役に立つのかよくわからない」かもしれません。というか、「具体的に役に立つ情景が思い浮かべにくい」という感じです。
 理科の先生というのは、なんとなく学究肌で世慣れていない人が多かったような記憶もありますしね。
 「危険」ということで、あまり実験もさせてもらえなくなった昨今では、さらに興味が低下してしまっているのも仕方ないかなあ、なんて思えてくるのです。

 しかし、大人になって考えてみるに、学校の授業のなかで、実生活の役に立っているのは、本当にごく一部なのです。それも、「知らないと生きていけない知識」なんていうのは、ものすごく少ない。
 あれだけ「国際社会に生きる日本人としては大事」だと学生時代にみんなが信じこんでいた英語なんて、多くの日本人にとっては「海外旅行とか外国人に道を聞かれたときにちょっと困るくらい」のものです。ちょっとかじったくらいでは、免税店で「高い!」と叫ぶオバチャンにかなわないくらいの実用性でしかないし。
 そもそも、「学校の勉強なんて、役に立たない」ものなのです。

 でも「役に立たないからこそ、面白い」というのもまた、一面の真実だとも思うんですよね。
 今の人類を支えている自然科学というのは、その「役に立たない学問」に魅せられてしまった人たちが創りあげてきたものですから。
 それでもやっぱり、勉強を「面白い」と感じられる人は少数派だし、そう感じられるようになるためには、「まず勉強して、ある程度理解すること」が要求されるのです。全然わからないと、どうしようもないわけで。

 実際のところ、「小学生や中学生に『役に立つ』と思われるようなレベルの勉強」なんていうのは、長い目でみれば、あんまり深みがないのです。本当は、その時代の勉強というのは、内容そのものよりも「勉強の仕方」のトレーニングみたいなものですし。
 
 まあ、結局あとになってから「あのとき勉強しておけばよかった…」と思うのは、いつの時代も変わらないものかもしれませんが。

 今やれば、何でもわかりそうな気がするんだよなあ…