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2004年05月26日(水) ■ |
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「コレクター」にとっての最大の難関 |
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「編集狂時代」(松田哲夫著・新潮文庫)より。
【いつか種村季弘さんが「コレクターの三条件」を教えてくれたことがあった。まず、「一、お金が沢山あること」、次には「二、時間や空間が自由になること」、そして「三、家族(特に配偶者)がいないこと」なのだそうだ。種村さんの知っているあるコレクターは、親譲りの多額の遺産を相続し、広い家に一人で住んでいる。職業は大学の講師。拘束時間がすくなく、自分が求めているものがたとえ外国で出たとしても、すぐに飛んでいけるからだという。
(中略)
しかし、お金、時間、空間よりも、コレクターにとって最大の難関は配偶者のようだ。ぼくの知人の場合でも、彼のコレクター的性癖を十分承知した上で結婚した奥さんが、いざ一緒に暮らすようになると、はっきり嫌だという姿勢を示すようになったという。ぼくも、コレクター的なふるまいを、ほぼ完全にやめるようになったのは、結婚してからだった。 世の奥さんたちの目には、夫が集めてくる得体の知れないインベーダーが家のスペースを侵してくることは、なにより耐え難いことのようだ。放置しておくと、経済、時間、空間すべてにわたって侵食されていくのではという恐怖にかられるみたいだ。】
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インターネット時代になって、コレクターにとっては、果たして良かったのかどうか?少なくとも、今までよりは時間や体力を使わなくても品物や情報は得易くなったような気がします。 Yahoo!のオークションを覗いていると、「誰がこんなものを買うんだろう?」というようなものにけっこうな高値がついていたり、「こんな昔のパソコンゲームを座して何の苦労もなく買えるなんて!」なんて驚いてみたりもするのです。 まあ、オークションで何かを買うというのは、手続きがちょっと面倒だったり、お金のやりとりに関してリスクがあったりもするんですけどね。
それにしても、コレクターにとって最大の難関が「配偶者」というのは、なかなか興味深い結論です。結婚しようとするくらいの相手であれば、お互いの性癖は承知の上のはずなのに、とか僕はつい思ってしまうのですが、実際に一緒に生活していると、やっぱり「何よ、こんなガラクタ!」という感じになってしまうのでしょう。一と二を考えれば、「お金と空間の無駄遣い」であるのは間違いないことだし。 逆に「結婚」というのはコレクターを卒業する最後の機会なのかもしれません。
配偶者をとるか、コレクションをとるか?それはまさに、究極の選択。 「それなら、同じ趣味の人と結婚すればいいんじゃない?」確かにそうなんですけど、その場合は、お金と空間は、際限なく消費されていく一方になってしまうしなあ。
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