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2004年05月06日(木)
「カエル機内食」の悲しき運命

毎日新聞の記事より。

【オーストラリア・メルボルン発ニュージーランド・ウェリントン行きの豪カンタス航空便で今年2月、生きたカエルの入った機内食が配ぜんされていたことが分かった。

 5日付の豪オーストラリアン紙などによると、女性乗客が機内食のふたを開けたところ、サラダに入っていたキュウリの上に体長4センチの茶色のカエルが乗っていた。女性は驚きながらもカエルが逃げないよう冷静にふたを閉め、客室乗務員に返却した。カエルはウェリントン空港到着後、検疫職員が冷凍庫に入れて「安楽死」させた。

 カエルは豪州特有のアマガエルの一種。レタス生産地などに生息しており、検査をすり抜けて混入したらしい。カンタス航空は事件後、レタス供給業者を変更、チェック強化など対策を取った。】

〜〜〜〜〜〜〜

 機内食にカエルなんて、ふたを開けた乗客は、さぞかしびっくりしたことでしょう。
 同じ目にあったら、僕も飛び上がるほど驚くと思います。
 しかしながら、この女性の対応は見事なもので、そんな状況で、カエルを逃がさないように蓋をして返却したのだから、たいしたものですね。

 ところで、こういう状況に遭遇したとしたら、いったいどういう対応をとる人が多いでしょうか?
 中には「カエルくらい気にせずに、知らんぷりしてよけて食べる」という人もいるでしょうし、「航空会社にクレームの嵐」という人もいるでしょう。大部分の人は、この乗客の女性のような静かな対応か、スタッフに苦情を言うくらいのものなんでしょうけどね。
 僕がその立場であれば、「カエル混入」という事態には驚くと思うのですが、それに腹を立てるかどうかは別問題のような気がします。自分が口をつけていたらいい気持ちはしないでしょうが、正直なところ「小さなカエルくらい入っていても仕方がないかな」とも思いますし。
 「清潔」に対する最近の人々の概念というのは、実際のところいささか行き過ぎているようなところもあって、易感染状態でもない人が、あんなに「抗菌グッズ」を常用する必要があるのかは、非常に疑問な気もするのです。
 一方で、「虫の食べた穴がある有機野菜」を珍重しながら、その一方でカエルの混入に対して激怒する。それって、矛盾しているような気がしませんか?
 どのあたりが「不潔」のボーダーラインなのか、というのは、それぞれの文化の違いなどもあって、難しいところだと思うんですけどね。
 僕は「カエル機内食」を口にするのは勘弁してほしいですが、中に入っているくらいなら、なんとなく「そういうことがあっても、仕方ないだろうなあ」と思ってしまう範疇なんですが。
 ゴキブリとかだったら、さすがにクレームつけまくる気もするけど。

 しかし、この記事で僕が最も疑問に思ったのは、「カエルを安楽死させた」というところなのです。おそらくこの乗客もカエルを殺すに忍びなくてわざわざ生きたまま蓋をしたのでしょうに、殺さなくてもいいんじゃないかなあ、と読んだときには感じました。
 「混入」されたのは、少なくともそのカエルの罪ではないのだから、そんなの、空港の近くの茂みにでも逃がしてやればいいのに、とか。
 実際は、検疫の関係で、生きたままのカエルの「持ち込み」は赦されないためこういう結末になったのでしょうが、それにしても、人間にとってもカエルにとっても後味の悪い話ではありますね。
 こういうのって、ゴキブリなら安楽死(?)が当然、犬や猫なら大問題(まあ、弁当に混入はされないでしょうが)になりそうだけど、この話でのカエルというのは、なんとなく僕にとっては「センチメンタリズムを刺激するボーダーラインな生き物」なんですよね。