|
|
2004年04月22日(木) ■ |
|
「半数が満足している」のか、「半数が不満」なのか? |
|
読売新聞の記事より。
【陸上自衛隊が復興支援活動を行うイラク南部のムサンナ県民の約半数が、自衛隊の活動に満足していないことが21日、地元紙「アルサマワ」の世論調査でわかった。
自衛隊の活動への過剰な期待はかねて心配されていたが、評価が数字に表れたのは初めてで、同紙のナフィ・エルファトリス編集長(34)は「期待が大き過ぎる一方で、自衛隊の支援があまりに遅く小さ過ぎた結果」と分析している。
世論調査は、陸自の本格支援が始まった後の3月27日から4月7日にかけて、サマワ市などムサンナ県内11市村から無作為抽出した2000人に面接して行われた。
それによると、「自衛隊の派遣は有益か」という質問に対し、「思わない」と答えた人が51%に上り、「思う」の43%、「どちらとも言えない」の6%を上回った。また、「自衛隊の駐留に賛成か、反対か」という質問では、「賛成」が49%、「反対」が47%、「特に考えはない」が4%で、賛成と反対がほぼ同数だった。
一方、「自衛隊に何をしてもらいたいか」との質問では、「失業問題の改善」を挙げた人が45%と最も多く、次いで「復興」33%、「投資」17%の順だった。
陸自がサマワ入りする前の今年1月前半に行われた世論調査(1000人対象)では、「自衛隊の派遣を歓迎する」が86%を占めていた。】
〜〜〜〜〜〜
「サマワの人々の半数以上が、自衛隊に不満を持っている!」という記事のようなのですが、僕がこれを読んだ印象としては、「半数の人が『有益と思う』と答えているのだから、上々なのではないかなあ、と思うのですが。地元紙の世論調査ということで、それなりに信頼できる数字でしょうし。実際は「役に立つ」「立たない」の二元論で結論づけられるものではなく、答えた人もみんなそれぞれ「役に立っている点」「役に立っていない点」を持っていると思うのですけど。
「復興支援目的」ではありますが、軍備をした他国の組織に「駐留」されるというのは、どこの国の人にとっても、けっしてプラスに考えられる状況ではないと思います。そうすると、派遣前の86%という数字のほうが、むしろ「異常な結果」であっただけで、現時点で少なくとも半分の人から支持されているという結果は、悲観すべきではないでしょう。もちろん、これが「本当の本音」かといわれると、それはそれで微妙なところなのかもしれませんけどね。
それにしても、「自衛隊への希望」のところを読むと、なんだかなあ、とも思うんですよね。【「失業問題の改善」を挙げた人が45%と最も多く、次いで「復興」33%、「投資」17%】というのは、「復興」に関してはアメリカを支持している日本にも責任があるとは思うけど、「失業問題」とか「投資」なんていうのは、「復興支援」の範疇なのだろうか?って。最初に自衛隊が駐留するための用地を借りるときには、現地の地主から、相場よりかなり高めの金額を吹っかけられたそうですし、イラクの人たちも、現状は現状として、したたかに生きているなあ、と感心してしまいもするのです。その一方で、こういう「ちょっと厚かましい気がする要望」が出てきているというのは、現地の人の自衛隊への「敵愾心」が比較的薄いのかな、とも感じるのですが。「占領軍」だと思っていたら、もっと違う要望が上位に来るのではないかなあ。 とりあえず、現状では自衛隊の人たちは、危険もある中、頑張ってくれているなあ、と僕は思います。ほんとうに現地の半分の人が「役に立っている」と感じてくれているなら、これはもう上々なのではないでしょうか。よそ者がいるだけで不満な人もいるでしょうから、住民全員が感謝、なんてありえないんだし。 ただ、「復興支援の目的と見通し」についての現地でのアナウンスが不足しているのではないかな、とは思いますけどね。
常に「100%満足」を基準とする必要はないし、ただ数字を並べるだけじゃなくて、その数字の意味を考えることって、大事なのです。そりゃ、「お客様の満足度」が高ければ高いにこしたことはないですが。
それと、あとひとつ気がついたこと。 イラクの人たちって、「どちらでもない」の回答率が低い。 日本人だったら、この形式の質問って、もっと「どちらでもない」が多そうな気がします。そういう意味では、白黒ハッキリつけたがるお国柄なのかな。
基本的には、「助ける人」「助けられる人」という枠組を超えて、お互いに協力して復興にあたれるといいなあ、と僕は思っているのです。少なくとも、サマワの人々を「一方的な弱者」よばわりするのはかえって失礼な気がしますから。
|
|