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2004年04月07日(水) ■ |
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イチロー選手が語る「子どもが宿題をやる意味」 |
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「キャッチボール〜ICHIRO meets you」(「キャッチボール〜ICHIRO meets you」製作委員会著・糸井重里監修)
(日本で前人未到の7年連続の首位打者に輝き、メジャーリーグ(シアトル・マリナーズ)移籍後も大活躍を続けているイチロー選手へのインタビュー番組を書籍化したものです。聞き手は、糸井重里さん。)
【イチロー:これね、大事なことなんですよ。 僕がよく小さい子に言うのは、「野球がうまくなりたかったら、できるだけいい道具を持ってほしい。そしてしっかりとグラブを磨いてほしい」ということと、「宿題を一生懸命やってほしい」ということ、なんですね。 宿題をやる意味は、宿題そのものだけではないんですよ、実は。 なんでぼくがそれを大事だと思っているかというと……大人になると、かならず上司という人が現れて、何かをやれ、と言われるときがくると思うんですね。 子どもにとっていちばんイヤなことは、勉強することなんです。 よっぽど勉強が好きな人はおいておいて、キライなことをやれと言われてやれる能力っていうのは、後でかならず生きてきますよ。 ぼくが、宿題を一生懸命やってよかったなと思うのは、そこなんですね。 プロ野球選手という個人が優先される場所であっても、やれと言われることがものすごくあるわけです。だったら、一般の会社員になって、そんなことは毎日のことのはずです。だから、小さい頃に訓練をしておけば、きっと役に立つと思うんです。 やれと言われたことをやる能力を身につけておけば、かならず役に立つ。 「自分は野球が好きだからそれだけやっていればいいや」といって宿題を放棄してしまったら、おそらく、後で大変な思いをすると思うんですよね。】
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「天才」と呼ばれる男、イチロー選手が語る「子どもが宿題をやる意味」。 イチロー選手は、このインタビューのなかで、「自分は『天才』ではない」と言っています。その理由は「自分がどうしてヒットを打てるか、ってことを説明できるから」なのだとか。「本当の天才は、『なんでこんなヤツがこんな打ち方でヒットをたくさん打てるんだろう』と思わせる人」なのだそうです。
画面の向こうのイチロー選手というのは、すごく冷静でマイペースな人のようなイメージがあります。「天才」についての分析にもあるように、確かに、いろんな物事を客観的に見ようとしているのは、間違いないみたいです。 誰でも子どもの頃って「どうして宿題をやらないといけないの?」って思ったことがあるはずです。そこには大人からの「社会人としての常識を身につける」とか、もっともらしい説明がある一方で、「最低限の加減乗除くらいわかれば、微分積分なんて全然解らなくても普通の人生では使うことはないし、歴史なんて、ただ覚えるだけで何の役に立つの?」というような「疑問」を拭い去れないのも事実だったのではないでしょうか。 大人になってみて「学校で勉強した内容は役に立ったの?」と問われれば、確かに人間関係とかでは「勉強になった」と言えても、授業の細かい内容なんて、ほとんど記憶に無い人が大部分のはず。
でも、イチロー選手が言われていることは、確かに事実だと思います。 もちろん、「勉強がわかる子」と「わからない子」では、勉強することに対する拒絶反応の度合いが違うのかもしれませんが、ほとんどの子どもは、「勉強しなくて良いなら、勉強したくない」のが本音なのではないでしょうか。 そこで「自分では納得いかない気持ちを抱えつつも、やれといわれたことをきちんとやれる能力」というのが、鍛えられるんですよね、きっと。 「やりたいことだけやれ」という「個性を伸ばす」という「教育」がもてはやされている面もありますが、あれだけの特別な能力を持っていて「個性のカタマリ」のようなイチロー選手ですら、【キライなことをやれと言われてやれる能力っていうのは、後でかならず生きてきますよ】と口にするほど、「キライなことをやれと言われている」のですよね、今までの人生で。 もっと「マイペースに、やりたいことをやれ!」みたいな考えを持っているのかな、なんて思っていたのになあ。
どんな優れた能力を持っていても、協調性の欠如や、やるべき努力をしないことによって埋もれてしまう人というのはたくさんいるはずです。その一方で、【キライなことをやれと言われてやれる人】というのは、それによって自分を磨いたり、他者から引き立てられることだってあるのです。「ワガママでみんなに嫌われる人」よりは「上司の覚えがめでたい人」のほうが、重要な仕事に抜擢されて自分の力をより大きなところで発揮しやすいでしょうし。
確かに、子どもの頃に「イヤなことをイヤだと思いながらもやれる訓練」を積んでおくというのは、大事なことなのかもしれません。 もちろん、犯罪とかは別ですが。
とはいえ、子どもが「これは訓練なんだ」と自分に言い聞かせて黙々と宿題をやる姿、というのは、それはそれでなんとなく物悲しいものではあるのですけどね。
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