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2004年03月10日(水) ■ |
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結婚後ふたりが最初に買ったもの |
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「『たま』という船に乗っていた」(石川浩司著・ぴあ)より。
(たまの「ランニング」こと、パーカッション(太鼓?)の石川浩司さんが結婚した理由)
【デートはたいてい知らない駅で降りて町歩きをするか、もしくは新宿のダンキンドーナツで延々ふたりでセブンブリッジであった。金を使わずに遊ぶのが楽しかったのだ。 ちゅーか、それ以前にもちろん金なんてなかったんだけどね。 そこで考えた。 帰る家が同じなら、ずっと遊んでいられるじゃないか。 それが俺が結婚を決意した一番の理由だった。 そして遊ぶために結婚した最たる証拠に、結婚後ふたりが最初に買ったものが鍋でもやかんでもなく、そのちょっと前に発売されたファミコンであったという事実がそれを物語っている。 帰宅時間を気にしなくてもいい環境で、毎日白熱の勝負をしていたのだ。】
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ひょっとしたら、「たま」というバンドのことを御存知ない方も多いのかもしれませんが、「たま」は、僕が高校時代に大流行したアマチュアバンドが競う番組である「イカ天」こと「イカすバンド天国」で大ブレイクした、4人組です。1990年のデビュー曲「さよなら人類」は大ヒットして、バンドブームの体現者のような存在でした(実際は「たま」ほどバンドブームの対極にいた存在はないような気もするのですが)。2003年10月に解散。 これは、「たま」でランニング姿で太鼓を叩いていた山下清みたいな人、こと石川浩司さんが、「たま」の歴史を振り返る中で、奥さんとの馴れ初めから結婚までを書いているうちの一部です。
「結婚する理由」というのは、おそらく人それぞれなのでしょう。「ずっと一緒にいたい」というのもあるし、一種の社会的信用と関連してしまう面もありますし(まだまだ、「結婚して家庭を持ってこそ大人」という考えの人は、多いみたい)、経済的な面もあるでしょう。「老後の不安」なんてのを挙げる人もいます。 まあ、石川さんも奥さんも、「ダンキンドーナツでセブンブリッジを一日中」なんてのは、今から20年前の話にしても、あまりにインドア&安上がりなデートだったと思うのですが。でも、「ずっと遊んでいられるから」という理由での結婚というのは、なんだか目からウロコが落ちたような気がしました。 最近いろんなところで、「やっぱり結婚には条件が大事」とか「学歴は無視できない」とか「生まれ育った環境が違いすぎると難しい」なんて話を耳にして、「結婚っていうのは、難しいことだなあ」なんて考えることが多かったものですから。 こういう「一緒にファミコンをずっとやっているための結婚」なんてのも、アリなのだなあ、なんて。 もちろん、そういうのは「いいかげんな気持ちでの結婚」だと思う人も多いのだと思います。でも、今のところ石川さん夫妻はお幸せそうですし、逆に、条件ばかりに拘って、結局「性格の不一致」で別れてしまう夫婦だって少なくはないでしょう。 そんなふうに考えすぎると、かえって結婚とかできなくなっていくばっかり、なのですが。
「結婚して最初に買ったもの」が、ファミコンでも、2人がそれを望んでいるのなら、案外うまくいくもの、なのかな。 やっぱり、「お互いの価値観」というのは大きいのかもしれない。
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