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2003年12月11日(木)
「彼をイラクに行かせないで」

asahi.comの社会記事より。

【交際相手が自衛隊のイラク派遣要員に選ばれた札幌と千葉の女性が、それぞれ1人で派遣反対の署名集めを始めた。政府が派遣を決めた今、どうしたら派遣を止められるのか。そんな気持ちから、師走の街頭に立つ。】

参考リンク:
「彼をイラクに行かせないで」たった一人の街頭署名活動

〜〜〜〜〜〜〜

 ちょっと長い記事なので、まず、参考リンクを御覧ください。

 確かに、「自分の恋人が戦場に行くことになったら…」と考えると、彼女たちの「たったひとりの闘い」の動機も理解できなくもありません。
 と言いたいところなのですが、うーん、これは正直、微妙だなあ。
 凍える寒さの中、懸命に署名活動を続ける彼女は【「頑張って」とねぎらってくれる人もいたが、「隊員を辞めたら」とも言われ、ショックだった】そうなのですが、僕も正直、「そんなに行きたくないんだったら、徴兵されてムリヤリ送られるわけでもないんだし、イヤなら自衛隊辞めるか、その隊員が個人的に派遣を拒否することもできるんじゃないの?」って思いましたから。
 まあ、彼女たち本人に、それを面と向かって言えるかどうかは、ともかくとして。

 この記事では、彼女たちの恋人は、「イラクに行くことに対して、不安はあるけれども拒否してはいない」のです。
 これを拒否したら将来的な昇進に響くとか、同僚の隊員に対して申し訳ない、とか、もしこれで自衛隊を辞めても再就職も厳しい、いうような「しがらみ」があるのは事実でしょうが、それでも「死ぬかもしれない」という危険と天秤にかけて、彼らは「それでも行く」と言っているのです。
 それで、彼女たちは「派遣そのものをやめさせる」ことにしたということみたい。
 男の立場からすると、「気持ちはありがたいけれど…」という感じなんじゃないかなあ。
 彼女たちが「恋人を危険な場所に行かせるのがイヤ」なら、どう考えても署名を集めるより、本人を説得したほうが早いんじゃないかと思うのです。
 それが不可能だと、彼女たちは判断したからなのでしょうが、そういう「2人の価値観の違い」を社会問題にしてしまうのもねえ…

 まあ、彼女たちの行動そのものに対しては、「愛とか恋っていうのは、そういう傍からみると不可解な行動をさせるものなんだなあ」と、ある意味その「情熱」が羨ましくさえあるのですが、この記事を書いている記者の「恋人を戦場に送られる女性」という描き方が、なんとなく引っかかってしまうんですよね。
 それは、あまりに彼女たちの姿を自分の主張のために利用しすぎているんじゃないかなあ、って。
 読者には、記者の予定通り伝わっているかは微妙でしょうけど。

 かわいそうだとは思いつつ、「自衛隊の隊員として給料はもらいたいけど、任務を果たすのはイヤ」なんて言われても、それはちょっと虫がいいんじゃないかい?という気もしてしまうんですよね、僕は。

 しかし、考えてみると、自衛隊のイラク派遣計画って、「自衛隊がイラクに行ってくれる」という前提で立てられているんだよなあ。
 隊員がみんな「イヤ!」とか言ったらどうなるんだろう、なんて、おそらくありえないことを考えてしまいました。