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2003年11月23日(日) ■ |
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伝わらない『ファインディング・ニモ』 |
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CNNニュースのサイトより。
【オーストラリアのABCラジオは18日、今年初めに米国で初公開されたディズニー、ピクサーによるアニメ「ファインディング・ニモ」のヒットの影響で熱帯魚の人気が高まり、南太平洋地域のサンゴ礁で激減していることが判明した、と報じた。 「ファインディング・ニモ」は、オーストラリア東北沿岸部に広がる世界最大級のサンゴ礁帯、グレート・バリア・リーフに生息するカクレクマノミの親子が主人公。ダイバーにさらわれ、シドニーの水槽に閉じ込められた息子のニモを助けるため、父親のマーリンが奮闘する物語。DVDの発売初日には、歴代最高の800万枚を売り上げた。 ABCラジオによると、同映画が公開されてから、世界中で熱帯魚の需要が高まり、サンゴ礁に生息する熱帯魚の捕獲量が増大。特に、熱帯魚が重要な観光資源にもなっている南太平洋の島しょ国、バヌアツの被害は深刻で、数カ月間で熱帯魚数が激減、サンゴ礁の生態にも悪影響が及んでいるという。 具体的な激減の程度などは不明。 環境保護団体関係者は、映画の人気に乗じて利益を得ようとする熱帯魚業者らが、映画本来のテーマをねじ曲げたと批判している。ホワイトロウ氏も「映画の主題は、人間が自己満足のために他の種を支配していいのかという問題を問い掛けるものだった。熱帯魚には自然の中にそれぞれの生息場所がある。取引業者が金儲(もう)けの対象とする『飾り物』ではない」と話している。】
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本当に言いたいことというのは、意外なくらいに伝わらないものなんだなあ、とこの記事を読んで僕は思いました。 「ファインディング・ニモ」(つい最近まで「ファイティング・ニモ」だと思ってた…)という映画、まだ日本では未公開ですので、僕は未見なのですが、少なくとも映画館で予告編を観た印象としては、「人間に囚われた子供を助けるために、親クマノミがさまざまな苦難を乗り越えていく」という話のようです。 だとしたら、この映画を観た子供たちは、ペットショップの水槽で飼われている熱帯魚に対して、「親が探しているかもしれないから、放してやればいいのに」と思いこそすれ、「自分でニモを飼いたい」なんていう気持ちになるんでしょうか? でも、実際は「ニモを飼いたい!」と思う子供がけっこう多いみたい。 まあ、子供というのは、大人を驚かせるような所有欲をときに見せるものですから、仕方ないのかなあ…という気もするのですが。
よく考えてみれば、それって、「ベイブ」(利口な豚が活躍する話)を観たあとに、トンカツを食べに行くようなものではないかなあ、と。
「せっかくだから、売れるものは商売に結びつけよう」というのは、売る側からすれば当然なのかもしれませんが、それって結局、「ファインディング・ニモ」って、かわいい魚が泳ぎまわるだけの映画」だというようにしか観客に受け取られていない、ってことですよね。 どう考えるのかは、観た人の自由なんじゃない?という意見もあるのでしょうが、親もせっかくだから、すぐに買い与えるのではなくて、「どう思った?」ということを話し合ってみればいいのになあ、などと思うのです。 「それでもニモを家で飼いたい?」って。 あまりにテーマが前面に出すぎた作品というのは、エンターテイメントとして面白くないところもあるのですが、それにしても、そんな傍からみたら直接的過ぎるようなテーマの作品でも、うまく観ている人たちにそれを伝えるのは難しいもののようです。 もちろん、ちゃんと伝わっている子供たちのほうが圧倒的に多いとは思うのだけど。 まさか、ディズニーの商業主義を子供たちは自然に理解しているのかな…
その一方、「風の谷のナウシカ」とか「マトリックス」というような作品は、かえって観る側が考えすぎてしまっているような気もするんですよね。
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