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2003年11月03日(月) ■ |
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ダイエー小久保、後味の悪い「無償」トレード! |
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共同通信の記事より。
【プロ野球ダイエーの中内正オーナーは3日、福岡ドームで記者会見し、中心選手の小久保裕紀内野手(32)を巨人に無償でトレードすると発表した。 中内オーナーは「環境を変えてステップアップしたいというので、希望をかなえてあげたい、と考えた」と説明した。中内オーナーは先月31日、福岡で開かれたオーナー会議の際、巨人の渡辺恒雄 オーナーに移籍を申し入れ、了承を得ていた。
(小久保裕紀選手の話) 決まった以上はとにかく新しいところでしっかりした野球をする決意がある。環境を変えたかった。良ければ褒められるし、悪ければ年俸にはね返るという純粋なところでやりたかった。】
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今日は、福岡近辺では、このトレードが夕方のトップニュースでした。 どこの局も、かなり長い時間をかけてこのニュースを取り上げていたのです。 一野球選手の処遇が、どのチャンネルを観ても最初に出てくるのですから、小久保選手の存在の大きさがわかるというものです。 今年は靭帯損傷で一試合も出場はできませんでしたが、ダイエーの選手たちは「精神的支柱」として小久保選手の名前を頻繁に挙げていましたし。 移籍先が巨人ということで、「また巨人!」という憤りを感じるアンチ巨人の人々も多いのではないかと思いますが、正直、今回の「無償」トレードというのには、なんとなく疑問を感じてしまいます。 移籍会見では、ダイエーの中内オーナーは涙を見せていましたし、今年は全然試合に出られなかったものの、ホームラン王や打点王などの数々のタイトルを獲得してきたチームの中心選手を怪我があったとはいえ、こんなにアッサリ「無償で」放出してしまうなんて… インタビューに答えていた街の人は、みんな一様にビックリしていましたし、選手会長の松中選手も「球団は、もうちょっとちゃんとしてもらいたい」という、彼の立場ではギリギリと思われる球団批判を電話インタビューでしていましたし。
おそらく、球団売却や経営危機が伝えられるダイエーホークスにとって、2億5千万円という高年俸で、しかも今回の怪我で今後の見通しが不透明な小久保選手というのは、「不良債権」扱いだったのかもしれません。 経営サイドとしては、「今年全然いなくても優勝できたんだから、来年も大丈夫だろう」という見通しだったんでしょうね。 今回の怪我を「公傷扱い」にしてくれず、そのうえ年俸大幅ダウンを言い渡した球団側に小久保選手が態度を硬化させていた、などという「消息筋の話」なども伝わっているのですが…
しかし、小久保選手自身にとっては、足の怪我(とくに、前十字靭帯というのは、スポーツ選手にとっては、かなり大きなトラブルですし)を抱えてセ・リーグ、とくに巨人に移籍なんて、非常に厳しいのではないかと思います。 パ・リーグであれば、いざとなったらDHで打つだけの出場も可能なわけですから。
彼自身の希望もあったのかもしれませんが、移籍するにしても、1年は慣れたチームで怪我の回復具合を確認してからのほうが、良いのではないかと思うのですが… 2億5千万円の年俸そのものが、彼の行き場をなくしてしまったようにも感じるのは、皮肉な話です。 そして、一時期異常なまでにお金を使って選手を集めたダイエーというチームが、逆にそうして上げてきた選手の高年俸で、自分の頚を絞めてしまっている、という事実。
今年のプロ野球は、シーズンそのものは非常に盛り上がりをみせましたが、その裏で、このシーズンオフの選手の動きには、なんとなく釈然としないものを感じます。 FA宣言した伊良部選手もそうですし、ダイエーでは、村松選手もFA宣言確実な情勢だとか。 ダイエーは、以前も日本一になった年に工藤投手がFA移籍してしまった経緯もあり、そのときは、ファンはみんなで多数の署名を集めたものです。 それでも、工藤は移籍してしまったのですが。
野球界でも、FA権を取れる選手自体がごく少数ですし、その上、自分の意思で希望球団を選べるFA選手は、そのうちのごく一握りです(小久保選手は「無償譲渡」なので、FA移籍ではありませんが)。 でも、せっかく得た選手の権利だとはいうけれど、野球ファンとしては、球団も選手も、もうちょっと節操を持ってくれないかなあ、と思わずにはいられません。 裏切られるファンの気持ちを考えたことがあるの?って。
ダイエーも阪神も、優勝はしたけれどチームはバラバラになりつつある感じ。 「勝つ」とか「富む」という目的のためには、人間は非常にならないといけない面があるのは事実です。 でもねえ、なんだか、宝くじが当たったせいで、仲が悪くなってしまった一家みたいな感じがして、非常に後味が悪い。 ダイエーは、「良くても褒められない」チームだったのかなあ…
少なくとも、今回の一件では、浮いた小久保選手の年俸以上に「懐具合が白日の下に晒された」というデメリットのほうが大きいような印象があります。 ダイエーファンが街頭インタビューで、「優勝パレードの翌日に、冷水ぶっかけられたような気分」と言っていました。
あのファンの熱烈な応援だけでも、選手は十分報われているんじゃないか、なんて思うのは、僕がそういうスターの立場になったことがないからなのかもしれないけれど。
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