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2003年10月22日(水) ■ |
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ふしぎの国の有栖川 |
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共同通信の記事より。
【大正時代に断絶した皇族「有栖川宮」を名乗って結婚披露宴を開き、祝儀約1300万円などをだまし取ったとして警視庁公安部は21日、詐欺容疑で「有栖川識仁」を自称した北野康行容疑者(41)=京都市左京区岡崎天王町=ら3人を逮捕した。 ほかに逮捕されたのは、披露宴で新婦となった坂本晴美(45)=東京都文京区向丘、イベント企画会社役員楠信也容疑者(42)=目黒区目黒=の両容疑者。 北野、楠の両容疑者は容疑を否認している。 公安部は宮内庁に照会、北野容疑者が有栖川宮家と無関係と確認した。 調べでは、北野容疑者らは4月6日、港区のビルのイベントホールで「有栖川宮記念奉祝晩餐(ばんさん)会」と銘打った披露宴を開催。北野、坂本の2容疑者が新郎新婦となり、祝儀などをだまし取った疑い。】
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それなら、有栖川有栖さんとか、伊集院光さんとか、綾小路きみまろさんなんかも…とか言ってみたりして。もちろん、この方たちはペンネームもしくは芸名として、これらの高貴そうな名前を使用されているだけで、自分たちが宮様だなんて主張されているわけではないのですが(そもそも、伊集院とか綾小路は、皇族の号ではありませんし)。
この話、一般ジャーナリズム的には、ちょっとした詐欺事件という扱いだったのですが、今日のワイドショーでは、堂々の主役を張っていました。 おなじみの石田純一さんが参加され、しかもスピーチまでやっているなんて、ワイドショー的にはこれほど「おいしい」ネタもないでしょうし。
僕も昼ごはんを食べながらこの事件をとりあげたワイドショーを観ていたのですが、その番組では、「ほとんど何もしゃべらずに立っているだけだった」という有栖川識仁「殿下」こと北野容疑者よりも、新婦役の坂本晴美容疑者のほうが、大きく取り上げられていました。 そのワイドショーでは、北野容疑者の経歴(広告代理店に勤めていた)などが事細かに語られ、彼女の部下だったという人たちが、北野容疑者の人となりについて語っていました。 「男には優しく、女には厳しい」 「自分と似たような、自己主張の強い女の後輩には、とくに厳しかった」 「研修のレポートを書くとき、内容よりも『北野さんのような素晴らしい先輩に教えていただき』と彼女を賞賛しないと合格させてもらえなかった」 「まさに、『お局』って感じ」 もう、さんざんの評判です。 その上、彼女は自己主張が強くて自信家で、あるマジシャンの後援会の世話係をしたときに、「自分が表に出たほうが人が集まるから」という理由で、表紙にデカデカと自分の写真を載せていたり(ちなみに、主役のはずのマジシャンは、チラシの裏に小さく写真が載っているだけ)していたそうです。
まあ、どこにでもいるような「困った目立ちたがりの人」がパワーアップしたような存在だったわけなのですが、逮捕される直前の彼女は、テレビのインタビューで、「何も悪いことはしていない」とか「『有栖川』だと言っただけで、『皇族』だとは言っていない」とか堂々と応えていました。 テレビのコメンテーターたちは、彼女がしらばっくれていると判断して「いかにもお局様って感じですねえ…」と呆れ果てていたようなのですが。
でも、僕は自信たっぷりにインタビューに答える彼女の様子を観て、「この人は、本当に『信じている』んじゃないだろうか?」という気がしてきたのです。 そのくらいじゃないと詐欺師にはなれないのかもしれませんが、人間ってやつは、あまりに物事がうまくいかないと、自分のついた嘘に自分で溺れてしまうことがあるのです。 思いのままにいかない現実を自分が望むように無理に捻じ曲げようとして幻想に逃避してしまった結果が、この事件なのではないかなあ、と。 そんな彼女を「お局さま」とか「馬鹿みたい」と思える人は、幸せなのかもしれませんね。
45歳、離婚歴2回。まことに不謹慎ながら、一緒にテレビを観ていた同僚たちは、みんな「これで45歳?綺麗だねえ」と言っていました。 確かに、その年齢とは思えないくらい綺麗な人なんですよねえ。 そういうところに、みんな騙されてしまったのかもしれないし、本人にとっても「どうして私はこんなに優れているのに、自分の人生はうまくいかないの?」という意識をもたらしてしまったのかも。
そんなふうに考えると、この「お局様」は、ちょっと可哀相ではありますね。 まあ、彼女のおかげで、ごく普通の働く女性に悪いイメージが植えつけられてしまうのは、迷惑この上ないことですが。
しかし、誰でも、ちょっと人生悪い方へ転がってしまえば、「有栖川宮」になる可能性はあるよなあ、という気もするのです。 自分を神にした一種の新興宗教の狂信者。
それにしても、石田純一さんというのは、タイムリーにこういう場所にいる人ですね。 芸能界は人脈が大事な世界でしょうから、知らない人の結婚式に呼ばれるなんて、そんなに珍しいことではないのかもしれませんが(でも、高木美保さんは「私のところにも招待状が来ましたけど、知らない人だったからすぐ破り捨てましたよ!」と言われてました)、いったい、どんなスピーチをしたんでしょうか? 僕のような小心者は、親友の結婚式のスピーチでも何を言っていいかわからないものなのに。
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