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2003年06月30日(月) ■ |
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「実験用動物救出作戦」の欺瞞と危険性。 |
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共同通信の記事より。
【警視庁は30日、順天堂大(東京都文京区)に侵入し実験用動物を盗んだとして、窃盗と建造物侵入の疑いで、英国の動物愛護団体「ストップ・ハンティンドン・アニマル・クルエルティ(SHAC)」の女性活動家、ドーン・ハースト容疑者(31)=英国籍、建造物侵入罪などで公判中=と、関係する日本の団体のメンバー数人の逮捕状を取った。 公安部は同日、窃盗容疑などで東京都内にある日本の団体の事務所を家宅捜索した。 調べでは、ハースト容疑者と日本の数人は昨年4月、順天堂大に侵入し動物実験用の犬を盗んだ疑い。 ハースト容疑者は2001年7−8月、大阪大と関西医大、順天堂大の施設に侵入、大阪大の施設から動物実験などを撮ったビデオテープを盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪で起訴され、大阪地裁で公判中。】
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犬を「盗んだ」というのは、ちょっと犬に失礼な気もするのですが、法律上はペットは「物」として扱われるらしいですから、仕方がないんでしょうね。
いわゆる「動物愛護団体」にもいろいろなものがあって、映画やドラマ撮影での動物の虐待に反対するグループもあれば、このように、「動物実験」に対して反対するグループもあるわけです。彼らの活動のおかげで、映画では「この作品では、動物を虐待していません」という但し書きがつくようになりました。それはそれで悪いことではないのだけれど。
しかし、今回の「救出劇」には、大きな問題があるのです。彼らが確信犯かどうかは、僕にはわからないのですが。 僕が大学生のころ、部活で使っていたグラウンドの片隅に、真っ白なネズミのカップルがいました。それを見つけた女の先輩は、「あっ、ネズミだ!」と言うと、学生課に連絡をしたのです。 結局、その動物実験棟から脱走してきたらしい、愛らしいネズミのカップルは、大捕物の末に捕獲され、どこかへ連れていかれました。 そのあと、先輩が一言、「かわいそうだとは、思ったんだけどねえ…」
動物実験の犠牲となる動物たちは、その多くに何らかの役割が与えられています。 あるものは、癌細胞を植えつけられて、いろいろな条件下で、その進行速度を調べられ、またあるものは、細菌に感染させられて、治療に効果的な薬の試験投与を行われたりしているわけです。 要するに、ただの動物じゃなくて、ヘタに動物実験棟から出してしまうと、外界に危険な病原体を媒介してしまう可能性がある動物たち。 安全上の理由からも、勝手に「救出」などされては、困ってしまいます。 極論かもしれませんが、実験動物を「救出」するために、人類が「滅亡」してしまうかもしれないのです。 それは、別に動物たちが悪いわけではなくて、人間の都合で彼らを「実験動物」にしてしまっているということですから、本当に申し訳ないことなのですが。 でも、その一方、動物実験をやらないで、すぐ人間に対して治験をするとなると、そのほうがはるかに人間にとっては危険なこと。 例えば、人間と犬が溺れていれば、どっちを先に助けますか? 僕は人間のほうが先です。僕も人間だから。 動物実験というのは、長い目でみれば、人間にとってのそういう必要悪だと僕は思っているのです。
それにね、「残酷」って言われるけれど、研究者たちだって、好きこのんで実験動物をなぶりものにしているわけではないんです。 みんな、「ごめんよ…」と思いながら、動物たちを犠牲にしているんだけどなあ…
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