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2003年06月22日(日)
「食通」必ずしも真ならず。


「マイ・ファースト・ビッグ 『美味しんぼ〜豊潤な味わい!厳選の牛肉料理編』」(小学館)の連載コラム「美味しんぼ塾」(雁屋哲・著)より。

【血の滴るような肉をぎゅいぎゅいと噛みしめたい。その時に出て来る血と肉の混ざった味を楽しみたい。そう言う快感は「和牛」からは得られない。
 「和牛」が極端に高く評価される理由の一つは今まで日本の「食通」と言われた人達が皆老人で歯が弱かったからではなかったかと邪推している。
 「箸でちぎれるほど柔らかい」と言うのが牛肉のほめ言葉になっている所なんか、私のその邪推の肩を持つものだね。】

〜〜〜〜〜〜〜

 まあ、「和牛」に対する雁屋さんのコメントは、僕も「箸でちぎれるほど柔らかい肉」が大好きなので、個人の好みなんだろうなあ、とは思いますけど。
 しかし、よく考えてみると、今の日本で「美味しい食べ物」と世間的に認められているものの基準って、確かに「高齢者向け」になっているような気がします。
 要するに、そういう権威付けをしているのが「大人」だということなんでしょうね。

 たとえば、マグロのトロなんて、僕が子供の頃に食べたときは、全然美味しいとは思えませんでした。「なんか脂っこい食べ物だなあ、どうしてこれがこんなに高いんだろう?赤身のほうが美味しいのに」と感じたものです。
 今では好きですけどね、トロ。
 他にも白子とか(あれも生臭くって、あんまり美味しいとは思えなかった)、キノコ類とか、子供の頃は「美味しいから食べてみなさい」と大人に言われて「マズイ…」と絶句した食べ物って、けっこうあります。
 確かに、大人(それも食通)は柔らかい物が好き、ということは言えるのかもしれません。
 しかし、それもまた、体を作る時期にある若者と、あまり栄養を摂りすぎては成人病の元凶になってしまう大人の体との合理的な違いなのかなあ。
 僕の父親も、亡くなる前は「ナマコは辛い」とか言ってましたから、食べ物を味わうための歯の丈夫さというのも重要なファクターでしょう。
 それに、「お金を払える人が好きなものの値段が高い」というのは、逆であるよりは自然だし。
 まあ、味の好みは個人差、年齢差があるものですから、「食通」の人達の好みが、必ずしも万人にあてはまるというものではない、ということは当然のことですよね。
 
 「有名人も美味しいって言っている名店」
 だからといって、それが自分の舌に合うとは限らないし、「マズイ」と思うのも恥ずかしいことではないのです、きっと。