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2003年05月15日(木) ■ |
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「聖職」と呼ばれる職業の哀しきオキテ。 |
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時事通信の記事より。
【愛媛県教委は14日、校長室からなくなった米大リーグの記念ボールをめぐり、事実確認せずに生徒を疑う発言をしたとして、県内の公立中学校の男性校長(55)を戒告処分とした。 県義務教育課によると、ボールはバリー・ボンズ選手が通算600号本塁打を達成した試合で、観戦していた校長を含むファンに配布された。校長室に飾られていたが、3月17日、校長が卒業式から戻るとなくなっていた。 校長は同日夜、卒業生の父母が集まった席で「家の中を探してほしい。見つからなければ警察に通報する」と発言。しかし、ボールは卒業式に出席した同町助役が誤って持ち帰っていたという。】
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なんてひどい校長なんだ!と思いますか? 僕の第一印象は、先生って大変だよなあ、なのですが。 どういう状況で、この記念ボールが無くなっていたのかはわからないけど、盗む可能性があるのは、生徒か学校のスタッフか外部から侵入した泥棒。自分で無くしたとか、神隠しだって完全には否定できないですが。
でも、部屋が荒らされたりしていなければ、泥棒が盗ったとも考えにくいでしょうし、スタッフも疑いにくい。やっぱり、「盗まれた!」と思った際に、普通の人間とだったら、まず疑うのは生徒なんじゃないかなあ、と。こんな御時世ですし。 でも、こういう場合に「証拠が無いのに(ときには、証拠があってさえも)生徒を疑う素振りをみせてはいけない」というのも、いわゆる「聖職」のオキテなんですよね。 医者や看護師も、病院で起こった盗難事件では患者を疑えない。 そう考えると、「聖職」なんてのは、けっこう意地と見栄と演技力の職業なのかもしれませんね。 「信じてるよ!」といささかワザとらしいオーバーアクションをとれるくらいじゃないとダメみたい。 結局、この事件で誰がいちばん悪いかと考えると、勘違いだったにしても、無断で記念ボールを持ち出してしまった町の助役なわけで。 しかし、いったいどんな勘違いなのか不思議でしょうがないんだけど。 たぶん、ボンズの600号記念ボールというのは、野球ファン以外の人にとっては、そんなに大事な「お宝」だとは思えなかったのかな。 実際、鑑定団などに出しても、本物の600号ホームランボールでもない限り、何十万なんて値段がつくものではないでしょうから。 そういう価値観の違いが、この事件の原因なのかもしれません。
まあ、「戒告」という曖昧な処分が、この事件に関する世間の本音と建前をあらわしているような印象はありますが。
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