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2003年03月22日(土)
アメリカで、120年間変わらない格差。


「アホでマヌケなアメリカ白人」(マイケル・ムーア著・松田和也訳)より。

【この国(アメリカ)では、たぶん黒人の暮らしは良くなっていると思われるかもしれない。つまり、俺たちはこの社会の人種差別をなくすためにいろいろ頑張ってきたし、その点では昔より断然良くなっているんだから、黒人の生活水準も上がってるんじゃないかと考えられているだろう。2001年7月に<ワシントン・ポスト>が発表した調査によれば、平均的な黒人が、平均的な白人と同じかそれ以上の生活水準にあると考えている白人は40パーセントから60パーセントに上るという。
 だが、それは違う。経済学者のリチャード・ヴェダー、ロウェル・ギャラウェイ、デイヴィッド・C・クリンガマンの研究によれば、平均的な黒人の年収は、平均的な白人よりも61パーセントも低いのだ。この差は、1880年当時の格差と全く同じなのである!
 事態はこの120年以上、何ひとつ変わっちゃいないんだ。】

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 黒人の生活水準が、みんなマイケル・ジョーダンと同じレベルではないとしても。
 自由で平等なアメリカ社会、というのは、僕たちがイメージしているほど現実のものではない、ということなんでしょうか。
 僕がアメリカに行ったときに、疑問に感じたこと。それは、アメリカでも有数の名門病院を見学させてもらたときのことです。外来には、担当医師の写真と簡単なプロフィールが掲示してあり、患者さんは、自分の担当医を指名できるのです(ただし、この病院はいわゆる「お金持ち向け」で、入院費もヘタすると1日何万、何十万とかかるそうです)。
 その病院で働いている先生に聞いたのですが、「この病院の外来担当医は、男女比や人種の比率が決まっていて、誰か抜けると、その条件に合った人が代わるようになっている」ということでした。
 これはおそらく、人種による差別がないように、という配慮なんでしょうけれど、正直、「人種・性別にこだわらずに、有能な人から採用すればいいのに」と僕は思いました。
 こういうのは、いかにアメリカという国が「差別」に対して神経質であるか、という一例だと思います。その一方で、この120年間では埋められないギャップがあるのも事実のようです。
 アメリカは人種の坩堝と言われますが、現実にはチャイナタウンのように、人種によって居住している区域が違ったりしていることも多いようですし。
 
 もしかしたら、アメリカにとってイラク人というのは、同じ人間とは思えない、というような潜在的な意識があるのかもしれません。かつて、日本に原爆を落としたときのように。
 まあ、戦争する相手に同情しながらでは、戦えなくなってしまうだろうけど。

 結局、アメリカ人って差別的なんだよね、と言いたいところですが、アメリカは、形式上だとしても、傍からみたら不思議なくらい「差別をなくそう」という努力を続けています。それはやっぱり、評価すべき点だとは思うのです。

 ふりかえって、日本という国は、どうでしょうか?日本に住んでいるアジア系・アラブ系の外国人労働者(正確に言えば、彼らは日本国籍を持っていなければ「日本人」ではないのですが)の平均収入と日本人の平均収入を比較すれば、やっぱり同じように格差があるんじゃないかなあ。

 「平等」っていうのは、本当に難しいものですね。
 あまりに「平等」にしようとすると、かえって不平等な印象を与えてしまうことも多いような気がします。