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2003年03月17日(月) ■ |
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「人間の盾」と「守られるべきもの」 |
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共同通信の記事より。
【パレスチナ自治区ガザ市からの情報によると、ガザ地区南部の自治区ラファ難民キャンプで16日、イスラエル軍の民家破壊を阻止する「人間の盾」の活動をしていた米国人女性が同軍のブルドーザーにひかれ、死亡した。 女性はパレスチナ支援団体「国際連帯運動」(ISM)のメンバーで、米ワシントン州出身のレイチェル・クーリーさん(23)。 国際連帯運動はヨルダン川西岸やガザで、パレスチナ人民家に泊まり込んで家屋破壊を阻止したり、戦車の行く手を阻んだりする非暴力の抵抗運動を続けているが、死者が出たのは初めて。活動には日本人もたびたび参加している。 クーリーさんは計8人で現場付近で活動していたが、地面に横たわってブルドーザーを止めようとし、そのままひかれたという。】
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23歳の女性の悼ましい死。 今、日本でも話題になっている「人間の盾」ですが、こういう悲劇も世界では起こっているのです。 この女性は、「平和」と言う目的のために、自ら犠牲となってしまったわけで・ しかし「地面に横たわってブルトーザーを止めようとするなんて、まさに命がけです。 ブルトーザーだって、急には止まれないでしょうし。
イラク問題が、現代の世界の最大の懸念事項なのですが、世界で戦火に巻き込まれている場所は、イラクだけではありません。パレスチナ問題で、あまりにも強硬な姿勢をとり続けるイスラエルに対する国連の非難決議に対して、拒否権を発動したのはアメリカだったのに。
でも、これは一体誰のせいなんでしょうか? ブルトーザーを止めなかった兵士のせい?こんな自殺行為をする側のせい? あまりに頑なな、イスラエルという国のせい?
「盾」である以上、武器を身に浴びる覚悟がないといけないのでしょうし、結果として、この23歳の女性のあまりにあっけない死が、世界にアピールしたものはけっして少なくはないでしょう。 「すべての人種において平等な(はずの)人の命を戦争から守るため」の「人間の盾」。 でも、こうして「アメリカ人の若い女性」が犠牲になったからということで、大きく取り上げられるのは、ある意味すごく皮肉なことです。 たぶん現地では、パレスチナ人が何人も同じように家を守ろうとして命を落としているでしょうに。 彼女の犠牲は、僕にいろんなことを語りかけます。 「23歳の女性にとって、世界の平和なんてのは、自分の命と引き換えにするくらい価値のあるものなんだろうか?」 そして、「命は平等だというけれど、アメリカ人であり、人間の盾として自ら命を投げ出したこの女性の死は、果たして、パレスチナ人だというだけで本人は望まないのにイスラエル軍に虐待され、同じようにブルトーザーに轢かれた人たちの死よりも、価値ある死なのだろうか?」と。
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