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2003年02月09日(日)
『WEB日記の良い題名、悪い題名(技術編)』


「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」(井上ひさしほか、文学の蔵編・新潮文庫)より。

(作文教室にて「自分が今いちばん悩んでいること」をテーマに書いてください、と参加者に話した後で)

【題は出しません。題は、自分で考えてつけてください。題名をつけるということで3分の1以上は書いた、ということになりますから。
 それだけ題名というのは大事なんです。
 ですから、みなさん、自分で好きな題をつけてください。いい題名とは、たいへん情報量が豊かなものなんですね。
 読み手が、それを見て「あっ、これ、読んでみようかな」と思うような題名を、うんと考えてつけてください。つまり、題名とは最初の勝負どころなんですね。】

〜〜〜〜〜〜〜

 題名が3分の1以上!
 字数としては、本文に比べたら少ない数なのですが、題名というものを井上さんが非常に重視しておられることがよくわかります。

 紙媒体にしてもWEB日記にしても、名の知れた作家・サイトでない限り、はじめてみた本を手に取ったり、そのサイトへのリンクをクリックするかどうかは、ひとえにこの「タイトル」にかかっています。
 本の場合は、その本じたいの荘丁などで興味を惹かれることもありそうですが、日記系やテキストサイトのリンク集から、初めて来た人が、どの日記を読もうとするかというと、まず、「タイトルに興味を惹かれもの」だと思うのです。
 どんなに内容がすぐれていても、読者にとっての判断材料は「タイトル」もしくは「更新報告の文章」だけであることも多いわけで。
 僕自身もそんなに経験豊富なわけではないのですが、たくさんの人に来てもらえるタイトルについて、いくつか感じたことを。

 以下は、まだサイトを始めたばかりで、多くの人に読んでもらいたいという初心者向きの話です。
 そして「こうするべきだ!」と意見しているわけではなくて、何らかの参考にしていただければ、ということですので悪しからず。

 まず、当たり前のことですが「読者に共通の話題をとりあげる」ということ。
 恋愛系・H系のサイトは、アクセス数が高めになりやすい傾向があるようですが、これについては「恋愛とかエロ話は、一般的な人間にとって共通項になりやすい」というのが僕の印象です。「現代プラレール事情」と「現代遠距離恋愛事情」という2つの更新報告が並んでいたら、どっちに興味を持つ人が多いでしょうか?
これはもう、そのことに興味を持っている人間の母集団の差が、根本的にあるわけです。
 まあ、前者もツボにはまるということがあるんですけどね。
 One of them より、only one の方が良いときもありますから。
 この話はいつか機会があれば、上級編としてどこかで。

 芸能界ネタ、ドラマネタなども同様ですが、さらにこの場合に大事なのは、読者にアピールするために「固有名詞」を入れておく、ということ。
 「今夜のドラマの感想」というタイトルより「『Good Luck』の竹中直人って…」というタイトルのほうが、アピール力は高いと思いませんか?
 読む日記を探すほうは、キーワードに反応する習性があるので、固有名詞を入れることは、非常に効果的なのです。あとは、「テキストサイト論」なんていうのも希求力があります。あまり目新しいものは出てこないので、僕はもう食傷気味ですが。

 あとは、「題名」には、少しだけ引っかかりをつくっておいたほうが良いと思います。あまりに素直な題だと、印象に残らずに流されてしまう。
 だって、多量の更新報告の文章をいちいち吟味する人なんて、ほとんどいないわけですし。
 たとえば今日の題名「WEB日記の良い題名、悪い題名(技術編)」というのが単に「題名の重要性」という題だったら、あなたは今ここに来ていますか?
 たぶん「それなら読まなかった」という人がけっこうおられると思うのです。
 
 日記を書き始めて最初の頃は、「面白い内容」にこだわるあまり、疲れ果てて余力でタイトルをつけてしまったりしがちです。
 でもね、それだと残念ながら、せっかくの内容が読んでもらえないこともある。
 勿体無いなあ、と思うことって、けっこう多い。
 
 いや、つい最近まで「○月×日」という題名をつけ続けていた僕が、こんな偉そうなこという資格はないのですが、何かの参考にしていただければ。

 ただし、いくらタイトルにインパクトがあっても、内容が伴っていないと、更新報告をするたびに「またかよ!」と読者に思われたりするだけなのかもしれませんが。

 こういう内容を書くとやや自己嫌悪に陥るのですが、日曜版ということで。