2009年05月30日(土) |
消されたヘッドライン |
監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:ラッセル・クロウ ベン・アフレック レイチェル・マクアダムス、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 ある晩ドラッグ中毒の黒人青年とピザ配達人が射殺される事件が発生。その翌日、若手国会議員コリンズの下で働く女性スタッフが地下鉄で自殺した。まるで関係のない2つの事件に奇妙な関連性がある事を発見したワシントン・グローブ社の敏腕記者カルは、学生時代からの友人だったコリンズに接触、また若手スタッフのデラと共に事件の真相を追うのだが・・・
【感想】 イギリスBBCで製作された傑作TVミニ・シリーズ「ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜」を大胆に脚色し映画化。
目まぐるしく展開するポリティカル・サスペンスで、事件の真相を追う「食らい付いたら離れない」記者魂を感じさせるカルという役は、正にラッセル・クロウが演じるのに相応しい。 ベンベンをスクリーンで久し振りに見た気がするんだけど、国家の陰謀に立ち向かう若手国会議員コリンズの役がハマってましたね。本作のキャストは本当にドンピシャリだったと思いますよ。
この手のサスペンスはほんの些細なセリフやシーンにも気を抜かずに見入っておかなければ、後の真相がつまびらかにされた段階で「え?そんな話(シーン)あったっけ?」になっちゃうので、物凄く緊張するし疲れる。 だから暇潰し気分でお軽く見れないので日本人にはウケが今一つ悪いんだろうなぁ〜と思う訳です。 実際、本作は5/22に公開になったばっかりなのに、1週経って映画館に見に行ったら既に1日2回上映になってた。 マジですかい・・・もーちょっとみんな映画館に足運んでよーう!(薄涙)
ラスオチは、よっぽど集中して見ていても途中で気付けないだろうと思われ。 ぴよも相当ミステリ・サスペンス物は好きだけど、流石に本作のラスオチは「にゃんだとぉ〜!?」でした。 まあ「お前がバカだから気付けなかっただけだろ?俺はあのシーンで真相は判ったけどなっ☆」・・・なんて方もいらっしゃるかもしれません。そーいうクレバーで思慮深い方は素直に尊敬しますよ。
本作はあくまでも「サスペンス」で「犯人探しミステリ」ではありません・・・ないと思います。 だから真相が種明かしシーンまで判らないからってイライラする訳ではなく、主人公達がどうやって真相まで辿り着いて行くのかを目まぐるしく動いて行く展開を見ながらハラハラさせられたり、とてつもないスクープを物にしようとする新聞記者達の熱心な姿に感じ入るのが魅力の作品だと思いますね。 少なくともぴよはそーいう部分を大いに楽しませてもらいましたよ。
主人公の敏腕記者「カル」という人物が、非常に魅力的なキャラクターとして肉付けされています。 メタボの男やもめ、ちょっと皮肉屋で言う事が意地悪だったりするんですが、「真実が知りたい」という新聞記者として最も大切な部分の軸にブレはない。ただ新聞記者として、真実を知りたいと追求する1人の人間として余りにも自分の思いに忠実過ぎるが為に、時として自分が大切に思っている人の気持ちを慮れなかったりして暴走するきらいがある。 ある意味、新聞記者に憧れる市井の人々が想像する「新聞記者ってこんな人」というステレオタイプだと思う。
1つのネタから次のヒントを得る、ヒントを得た事でまた動いて更に次のヒントに辿り着く、の繰り返しなのでエピソードが多い上に話がどんどん大きくなって行くのですが・・・最終的なオチは意外にシンプルで「あひゃ?」という感じがしたのはアレなんですが(苦笑)、でも真相が判ってから今までミスリードされていたあのシーン、このシーンを思い返すと「なるほど、アレはそういう事だったのか!」と、映画を見ている時と見終わった後で2度楽しめるお得感があります。
物事は表側から見るだけでは真相は判らない。表側に見えている物事を別の角度から見て、初めて真相に辿り着く。 ・・・うん、うん。この手のサスペンス、個人的に大好きですよ♪
まあそんな訳で個人的オススメ度は高めなんですが、この手のサスペンスは好き・嫌いがはっきり別れる手合い。 「ネタが多過ぎて訳わかんねーよ(怒)」と言う方もいらっしゃるかと。比較的ミステリ・サスペンス小説を読み慣れていて普段からこの手のジャンルに親しんでいる方には充分楽しめるだろうと思うので・・・そーいう方にはオススメしますね。
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