監督:吉田恵輔 出演:宮迫博之 仲里依紗 麻生久美子、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 8年前に妻が家を出て行き女子高生の娘・咲子と2人暮らしの中年・磯部裕次郎は、父親が突然亡くなり多額の遺産を手にした事で仕事も辞めて、毎日プラプラする日々。咲子から叱咤されて思いつきで始めたのが喫茶店。しかも裕次郎の好みがふんだんに生かされた超悪趣味な店構え。しかしこの店に妙齢の美女「モッコ」がバイトとして入った事で、店にも常連が増えて裕次郎や咲子にも恋の予感が・・・
【感想】 新進気鋭の若手監督、吉田恵輔氏が監督・原作・脚本・演出をこなすハートフル・コメディ。 予告編を見て「わー。最近邦画で量産型のゆるゆる脱力コメディ系かなぁ〜」と半ば期待・半ば飽きつつも、役者としての宮迫さんが結構好きなので鑑賞決定。 娘・咲子を演じる仲里依紗ちゃんは人気の若手女優さんなんですか?ごめんなさい。全く知りませんでした(^-^;
まあ要するに、口先と威勢の良さだけで実の伴わないダメおやじと、そのダメおやじの世話をしながら高校に通うしっかり者の娘と、更にその2人を取り巻く周囲の人間関係を織り交ぜながら見せる癒し系コメディ、という感じ? もっと簡単に言っちゃえば「大した事件も起こらない、何でもない話を見せる最近邦画によくある手合い」ですか。
何だか意地悪な書き出しですが・・・ 本作、多分世間一般的に(日本人なら)かなり評判がいいんじゃなかろうかと推察します。 ゆるゆるのグダグダなのに、退屈しないギリギリの間合いでクスリと笑わせる。 いかにも!なステレオタイプの田舎のダメおやじとしっかり者の娘の組み合わせも、リアルで何でもないっぽいのに実は計算されたセリフ回しも、そしていかにも「こんなヤツ、いるよね〜」と思いつつも実際は絶対にいないであろう(いるとしたらそれはTVドラマか小説の中だけ)奇妙なキャラとのバランスも、何もかもが日本人好みしそうな感じ。
でも何だろうなぁ。個人的に「肌が合わなかった」です。 もうこれはどうしようもない。
正直、宮迫さん演じる「磯部裕次郎」というおやじのキャラにイラ付いた。 実は純朴ないいおっさんなんだよね、と誰もが思うであろうダメおやじっぷりがちょっと鼻に付いた感じですわ。 宮迫さんがまたこのキャラにハマってて上手いんだけど、何だか彼って同じようなキャラばっかり演じている気がして、ちょっぴり飽きてきたのかもしれません。 でもコレは宮迫さんを責められない。だってそういう仕事のオファーしか来なかったら他の役やれないもんね(^-^;
個人的には宮迫さんに期待して見に行ったんだけど、咲子を演じた仲里依紗ちゃんが思いの他よかった。 イマドキの女子高生と触れ合う機会が滅多にないので実際の所はどうか知りませんが、彼女の様子がすごくリアリティがあってキャラにピタリとハマっていましたね。 ふて腐れる感じも、ブー垂れてる割にいざ写メ撮る段になると「自分が一番可愛く見えるポージング」を取る所も、父親を嫌悪して見下すお年頃の様子も、それからそんな父親でもやっぱり放っておけなくてきちんとお手伝いするいじらしさも、何もかもが微笑ましかったですよ。
ちょっと気になったのはー・・・ クライマックス(謎)の後に「1年後」のシーンがあるのですが、これは正直いらないんじゃ? モッコが裕次郎にある衝撃の告白をするんだけど、これは咲子の気持ちを慮ってついたウソなんじゃ?とちょっぴり切ない気持ちにさせつつ、1年後のシーンを見ると「やっぱりタダの○○○なんかいっ!」と、別の意味で脱力しましたよ(苦笑) この1年後のシーンはない方が、観客が各々真相を想像して楽しめる余韻が残ったんじゃなかろうかと思うのですが。
総じて決して悪くないんだけど、何だろうなぁ〜・・・単純に「この手の映画に飽きちゃった」だけなのかな?(^-^; とにかく映画見終わって映画館を後にしてから何も心に残らなかった。心に響くものがなかった。 だから単純に本作は自分と肌の合わない作品だった、という事なんだろうな、と。 でも基本的には邦画好き・ゆるゆる脱力コメディ系が好きな方なら、ウケはいいだろうと思います。
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