2008年05月12日(月) |
山のあなた〜徳市の恋〜 |
監督:石井克人 出演:草なぎ剛 加瀬亮 マイコ、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 新緑の季節になり、盲目の按摩「徳市」と「福市」の2人は南の海辺の温泉地から山深い温泉地に移動していた。彼らは目が不自由な分、匂いや気配だけで前を歩く人間の数や性別・出身地等をズバリ当てられる勘の鋭さを持っていた。温泉の按摩宿泊所に行くと早速お呼びが掛かる。呼ばれた宿に行くとそこには美しい女性「美千穂」がいた。美千穂にほのかに思いを寄せる徳市だったが、彼女は何か訳ありの様子。そんな中、美千穂の投宿する宿で事件が起こる。
【感想】 日本映画界の輝ける名匠・清水宏監督が1938年に発表した佳編「按摩と女」を完全カバー。 通常過去作品を新たに映画化する事を「リメイク」と呼びますが、本作は監督たってのご希望?で敢えて「カバー」と呼んでいるらしいです。要するに38年発表のモノクロ作品を忠実にカラーで再現しているという事でしょうか。
だから脚本やカメラアングル等も38年製作の作品を忠実になぞっているのではないかと推察。 いや、元ネタを観てないし資料を調べてないから本当のトコロはどーだか知りませんが、少なくとも元ネタと違う展開や見せ方しちゃったら「カバー」とは監督ご自身も呼ばないだろうと思いますしね。 勿論当時と同じ衣装を探す事はムリだろうし、カラーで撮影しているからこその美しさを最大限引き出すのが今回一番大切な事だろうと思いますから、その点は最大限アレンジ・演出しているだろうと思いますよ。
そんな訳で、実に70年も前に発表になったモノクロ作品をカバー。 勿論時代設定も当時のまま。だから話し言葉等が微妙〜に古臭いと言うかおっとりしている。全体的にまったりした進行で当時の日本人の生活ペースはこんなにゆったりと時間が流れていたのだなぁと思わせる、実にほのぼのとした遣り取りが続いていきます。
そして劇中の風景等の描写が非常に美しい。 古き良き日本の原風景を探す為に、ロケハンは随分苦労したんじゃなかろうかと思いますよ。 それから意外な事に本作は「恋愛物であってコメディ」更に言えば「ちょっぴりサスペンスちっく」←コレは言い過ぎか?
本作でスクリーンデビューなんだから知らなくて当たり前だと思うんですが、ヒロインを演じたマイコ嬢が新人なので全く期待していなかったものの、意外な事にこの「美千穂」という役にドンピシャにハマってました。 恐ろしく美しい人で着物姿が良く似合う。そして何とも声がいい。涼やかな美女がちょっと鼻にかかったような柔らかい声ではんなりと話す。簡単に言うと「めっちゃ男好きする話し声・話し方」って感じ。
ツヨポンはすごく頑張って徳市を演じていたと思いますよ。ちょっとマヌケな感じがキャラにハマってました。 でも個人的には加瀬君の方が違和感なく見れたかなー。加瀬君お上手ですねー。ツヨポンと比べちゃダメか?(^-^;
まあそんなこんなで「超・癒し系映画」 美しい映像を見ながらゆるゆるまったりと話が進む。進んでいるのかいないのか判らない位、ささやかに優し〜く時間が流れていく・・・ので、かなりの確立でまぶたが閉じる(をい) いや、ぴよは寝ませんでしたよ!今日は睡眠時間もバッチリ取ってましたし!!でもね、でもね、一緒に見に行った友達は全員見事に全滅してましたねー。映画終わってみんな照れ臭そう〜に顔を見合わせてましたね(^-^;
別に眠っちゃっても全然いいんじゃないかなーと思いますよ。 だって本当に「癒し系」の映画でしたもん。70年前の観客の皆さんなら本作の「徳市の恋」にワクドキして次の展開が気になってソワソワしながら「こんな過激なのOKなん?ちょっと男女が近付き過ぎなんちゃうん?」位は思うのかもしれないけど、2008年の観客には「まあ、なんだな。昔の日本の男女ってかったるい恋愛してたんだな」程度に思っちゃっても仕方ないと思いますもん(笑)
古き良き日本の、清く正しい男女の恋愛の機微を嗅ぎ取ってノスタルジックな気分に浸れる作品。 ・・・そう思って本作を見るのが正しい鑑賞方法なんじゃないでしょうか?ノスタルジックに浸って癒されるんですから、現代を生き抜く超多忙な21世紀人には眠たくなって当然だと思うし、つまらないから眠たくなった訳でもないでしょう。
まあそうは言ってもね、眠っちゃったら損した気分になるわよネ(苦笑) 心配いりませんよ。本作は何と全国いつでも1,000円@日帰り立ち寄り温泉価格で公開するそうですから♪ 日帰り温泉に行けない、でもたまには癒されたいあなた・・・本作観て温泉気分に浸って下さいよ(^-^)
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