監督:冨樫森 出演:竹野内豊 水野美紀 広田亮平、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 明るい笑顔が絶えない深沢家は、妻の慶子が3人目の子供を妊娠中で幸せの絶頂。ところがある日10歳になる長男・英治と6歳の妹・絵里奈が交通事故に遭い、英治は生死を彷徨いながらも一命を取り留めるものの絵里奈は亡くなってしまう。娘を亡くしたショックで父親の雅仁は家族に目を向けなくなって殻に閉じこもってしまった。何とか両親の笑顔を取り戻そうと健気に振舞う英治だったが・・・
【感想】 ジャネット・リー・ケアリー著の同名タイトル小説を、設定を日本に変えて映画化。 父・雅仁役を7年振りの映画出演だという竹野内さん、妻・慶子役は水野美紀さんが演じ、主題歌は平井堅。題材は親子モノのヒューマンファンタジー系だと来れば「いま、会いにゆきます」と同じ線で大ヒット狙ってる?(苦笑) まさか・・・この2人もこの映画が縁で結婚するとか、そんなネタにはならないよね?(^-^;
子役の2人が物凄く上手い。特に妹役を演じた吉田里琴ちゃんの愛らしさは異常。 で、有り得ないレベルでラブラブしていて、家の中はどこかのペンションみたいにラブリーで、美人ママはプロのパティシエ並みに手の込んだスイーツを作ってたりしていて、イケメンパパと手を繋いで謎のダンスを踊ったりして大はしゃぎ。 ・・・ぴよは特別不幸な生い立ちではありませんが、何だか見ていて浮世離れし過ぎていて正直ちょっと萎えた(苦笑)
映画はまず英治が奇跡的に蘇生するシーンから入り、話は一旦過去に戻って事故前の幸せな家族風景を見せ、その後事故からは所々に亡き妹との回想エピソードを差し入れながら見せていく感じ。 回想シーンは息子・英治の視点で描かれていて、彼が家の中の冷えた空気を見ていると、いつの間にか妹と遊んだりはしゃいだりした様子が目の裏に蘇って、妹が両親を喜ばせた・自分が楽しかった事を両親の前で再現すれば、両親も笑顔を取り戻すだろうとパフォーマンスするが、モノの見事に空回りする、という繰り返し。
家族の再生劇をドラマティックに見せたいという意図は判るんですが、ちょっとしつこいですね。 特に本作は「父親と息子の絆と再生」がキモなんですが、この父親にはムカ付く人は多いだろうと思いますよ。娘を亡くして落胆する気持ちは痛い程判りますが、それにしたってアンタちょっと自己中過ぎんだろ?ちったぁ〜残された家族の事も考えてやれや、と言いたくなる。 まあコレねー。きっと竹野内クンが非常に役に成り切ってたんでしょうね。成り切り過ぎてムカつきまくりだから(笑)
父親側からの視点というのはほとんどなく、長男の英治の視点や英治の出来事を主体に見せて行くというのは、ちょっとヒネっていて面白いなとは思うのですが、何か映画を見ていて物足らない感がある。 物足らないと言うのか、白々しく感じると言うのか。何て言うのか・・・特に長男が語り過ぎてるんですね。演技で見せるべき心情部分を全部セリフで語ってしまうので、観客に彼の心の内を各々想像させて思い入れを持たせるだけの余地がまるでないと言うべきなのか。
だから先の展開も全部判っちゃうし、ラストで英治が語る「お父さんはこう言ったんだ」という部分も、もうかなり前に観客に提示していた(つーか英治本人が既に語っちゃってた)ネタなのに、何を今更?という感じ。 何もかも見せ過ぎ・語り過ぎで、父親のセリフが「単なる言い訳」にしか聞こえなくて白々しく感じてしまう。
とは言うものの、コレは確かに「感動押し売り泣き映画」 散々文句垂れたクセに、ぴよもちゃっかりウルウルしてました。感動はしなかったんだけど(コラ) 何だか納得行かないのにとりあえず泣ける。「何でもいいから泣きたいんだー!」という気分の方にはオススメです。
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