監督:佐藤信介 出演:松下奈緒 夏帆 井坂俊哉、他 オススメ度:☆☆−
【あらすじ】 両親が離婚し母の実家・島根に引っ越して来た「杏」は、近所に住む大悟や藤・椎香らと仲良くなり自分の居場所を見つけ出した。ところが祖母に叱咤激励を受けた母は、逆に自分を追い込んで遂には自殺してしまう。母の弱さをなじり、母の自殺を止められなかった自分を責める杏を、大悟は「ずっと一緒にいちゃるけん」と言い優しく抱きしめるのだった。中学3年になった杏と大悟は付き合っていた。ところがある日、父親が杏と一緒に暮らしたいと迎えに来て離れ離れになってしまう。
【感想】 芦原妃名子著の大ヒット同名タイトルコミックの映画化。 既に映画化の前にTBS系でTVドラマ化されているそうで、TVドラマのヒットも手伝って映画化されたものだろうと。 主人公「杏」をピアニストとしても活躍する松下奈緒が、杏の中高生時代を若手注目株の夏帆が演じています。 ちなみにぴよは原作コミックもTVドラマも未見。まあいつもの事(^-^;
予告編を見た感じでは現在の杏と大悟のドラマが中心で、中高生時代の話は現在の状況を説明するためのエピソードとして挿入される程度かな?と当たりをつけていたのですが、蓋を開けてみると中高生時代の話が7割で現在の話が3割程度の配分でした。ってか印象的には殆どが中高生時代の話って感じ。
そんな訳で、中高生時代のエピソードは結構丁寧に描かれていて見応えもあります。 子供時代の杏を演じた夏帆ちゃんが物凄くカワイイ♪それから子供時代の大悟を演じた池松壮亮クンもカワイイ! 中高生時代のストレートで一途な恋愛模様を実に瑞々しく演じていました。総じて子供時代のエピソードは良かった。
でも大人になってからがどーもぴよにはダメでしたね。 正直言って松下奈緒さんの演技が鼻に付いた。それからエピソードが薄っぺらく感じる。結婚を決めた相手にしては婚約者とのやりとりはぎこちなさ過ぎるし、とても2人が愛し合っているように見えない。 相手の男の方も「ちょ・・・お前たったそれだけで婚約破棄?話し合おうとかそういう気はねーのかよ!?」とツッコミ入れたくなる程アッサリし過ぎていて、まるで婚約者はヒールのような役割でしかない(苦笑)
でも実は一番ぴよがダメだったのは、主人公「杏」の性格付けでした(^-^;
母親が自殺したというトラウマを抱えているのは判るけど、それにしても余りにも自分の気持ちしか考えていない。 映画中でも椎香に「自分ばっか悲劇のヒロイン気取ってんぢゃねーよ。タコ!」と罵られますが・・・いやこんなエゲツない言い方ではないですが(ちょっと脚色しちゃいました。へへっ)、まあ大体そんな事を杏は言われています。 自分の負のパワーが大悟をいつか押し潰すと感じた杏は、自ら別れを選択するのですが、コレも考えようによってはとても自己中心的な考え方だと思いますね。「私が元凶なんだから私が身を引けばいいのね〜」というのは典型的な悲劇のヒロイン妄想系の考え方。基本的に前向きじゃないキャラってぴよは好きになれないんです。
でもまだ子供時代ならいい。 思春期の女の子ってのは大なり小なり悲劇のヒロインになりたがるものですから。ぴよだってそうでしたし(苦笑)
でもいい大人になっても悲劇のヒロインを気取られると萎える。 特に、母親が自殺した時にあれだけ母親の心の弱さをなじり、祖母の後悔する姿を見て胸を痛め、自らも家族を自殺という形で失ったという辛さをイヤという程味わったにも関わらず、どうしてそう安直な選択が出来るのかと。 たかだかエリートイケメンと破談になった程度の事だろ?世の中ナメんのも大概にしとけや!このスイーツ!!(怒)
・・・と、まあそんな訳で、主人公の杏に全く感情移入が出来ず。 感情移入が出来ないというよりも「積極的に嫌いなタイプで、見ていてヘドが出た」という感じか(^-^; この映画の主人公に「判るぅ〜!すっごく杏の気持ち判るぅ〜!」と思える方には最強なんでしょうけど、少なくともぴよは全くダメでした。もうとにかく見ていて腹が立って仕方がなかったです。
編集もちょっと雑な感じがしたのですが・・・それより内容自体が全然肌に合いませんでした。 原作コミックやTVドラマ版はもっとキャラクターの掘り下げが丁寧で、きちんと感情移入出来るように作ってあったのかもしれませんが、映画という事で時間の制約もあって「悲劇のヒロインを気取るスイーツ」という安直なキャラにするしかなかったという事なのかもしれません。
評価出来たのは子供時代の杏と大悟の初々しい様子だけしたね・・・すいません。コレは単純に好みの問題かと。
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