2008年02月21日(木) |
L change the WorLd |
監督:中田秀夫 出演:松山ケンイチ 工藤夕貴 福田麻由子、他 オススメ度:☆☆−
【あらすじ】 キラ(夜神月)との最終対決を向かえ、遂に自らデスノートに自分の名前を記した「L」・・・その頃タイの小さな村で地球を揺るがす大事件が起こっていた。キラを葬り、自らの寿命も後23日になったLは、ワタリが残した未解決ファイルを次々と消化していたが、そんなLの元へ「ワタリへの贈り物」として一人のタイ人少年が送られて来た。少年が持ち込んだデータにより、人間によって作られた「死神」が蠢き始めた事を知るのだが。
【感想】 「デスノート」「デスノート the Last name」で一躍大人気になった「L」を主人公にしたスピンオフ企画モノ。 監督はデスノを撮った金子氏ではなく、今や押しも押されぬハリウッド監督となった中田秀夫氏。デスノに登場した様々なキャラも映画冒頭を賑わせてくれますが、本作の核ネタを引っ張るのはこれまたハリウッド映画慣れした工藤由貴さん、それからキーキャラ「二階堂博士の愛娘」役として今後期待のホープ?福田麻由子ちゃんがキャスティングされています。
ぴよもデスノ見てすっかり「L」ファンになったクチなんですが・・・ 正直言って本作はどうなんでしょう?はっきり言って全然面白くなかったんですけどー。←また結論攻撃かよ
そもそも本作の主人公が「L」である必然性が全くない。 デスノで松山ケンイチ君が演じる「L」という特異なキャラクターが世間でウケたので、LがLらしい様子で動いて喋って活躍する映画を作れば、婦女子は大喜びの大ヒットでウハウハに違いない!という安直な考えでチャッチャと追っ付け仕事で作った作品だとしか思えませんよ。
デスノのスピンオフ物なら、デスノの存在を生かしてデスノ絡みのネタにするとか、もしデスノ絡みにしないなら、せめてLらしい理路整然とした天才らしい推理構築シーンで客をうならせるとかしないと、Lの活躍を期待して見に行ったコチラは納得が行きませんよ。本当にスピンオフ物に当たりはありませんね。がっくりです。
話は「アウトブレイク」+「バイオハザード」+「Lキャラ風味」、要するにハリウッドっぽいネタを「L」という婦女子大喜びキャラで味付けして見せましょう、というだけ。 松山ケンイチ君は相変わらずの名演技を披露してくれて、本作ではフランス語や英語等もセリフに登場して随分頑張っているのでファンとしては嬉しいですし、脇を固める役者さん・・・特に二階堂博士を演じた鶴見辰吾さんや娘の真希を演じた福田麻由子ちゃんは良かったですね。それから悪役に徹した高嶋政伸さんも良かった。
でも役者の演技は誉める事が出来ても、肝心の内容がスカスカでは話にならない。 スカスカは言い過ぎか・・・既にハリウッドが散々食い散らかしたネタの2番煎じの脚本から一歩も出ない状態では、少なくとも「Lらしい天才的推理力を駆使した、客をあっと言わせる展開」を期待しているファンには到底満足する事が出来なかった、と言うべきですね。 ナンちゃんがFBI捜査官として登場して来た辺りで溜息は最高潮でした。余りにもヒド過ぎますよ。
内容について細かくツッコミ入れようと思いましたが・・・もうどうでもいいです(コラ)
まあ、デスノで散々稼いだので予算はふんだんにあったんでしょう。 本作ではタイでロケしたり、街中に飛び出してアレやコレやと金の掛かるロケを随分頑張っていますが、製作陣は観客が何を期待して本作を見に来ているのかを余りにも見誤っているとしか言えません。
確かに松山ファンには大満足だと思いますよ。 でも松山君目当てではなくて「L」の天才的推理構築を楽しみにしていたファンに、本作は余りに痛過ぎる。 どうせスピンオフ企画で作ってくれるなら、Lの風変わりな所作だけを凡庸な脚本に乗せるのでなく、もう少し何とか彼の彼らしい天才肌な部分を披露出来る脚本には出来なかったのか?
時間がなかったんでしょうね。この手のスピンオフ企画は「鉄は熱い内に打て」が鉄則ですから、とにかく世間がデスノや松山君の演じる「L」というキャラを忘れない・飽きない内に作り上げなければいけなかったんでしょう。 でも個人的には「L」の本来持つ魅力を出し切れない脚本しか作れないなら、スピンオフは製作するべきではなかったとしか言い様がありません。本当に本当に残念です。
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