2008年02月19日(火) |
ラスト、コーション 色|戒 |
監督:アン・リー 出演:トニー・レオン タン・ウェイ ワン・リーホン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 1942年、日本軍占領下の上海。傀儡政府のスパイとして抗日活動家を次々と抹殺するイーは、久し振りにマイ夫人と再会を果たした。マイ夫人―「ワン・チアチー」は実は抗日活動家の女スパイで、今から3年前に香港滞在中のイーを暗殺するべく身分を偽り「マイ夫人」として彼に近付き、後もう少しという所でイーが上海に転勤になり作戦が頓挫していたのだ。思惑通りイーの愛人となったワンだったが、何度も体を重ねる内にワンの心情に変化が起こるのだった。
【感想】 「ブロークバック・マウンテン」で世界中のゲイを大いに泣かせた(←違うだろって)アン・リー監督最新作。 本作、セックスシーンの描写が余りに過激なのでR-18指定を食らって話題になってますが、個人的には大好き♪トニー様の最新作という部分に惹かれて鑑賞。 トニー様演じるイーを暗殺するべく近付く女スパイ・ワンを、新人のタン・ウェイ嬢が正に体張って演じています。
話は1942年に上海でイーとワンが再会する所から始まり、再会に到るまでの過去の経緯を見せて行き、それからようやく映画冒頭の再開後の話が進む・・・という見せ方をしていきます。
映画冒頭で麻雀に興じるセレブマダム達の中で、マイ夫人(ワン)だけが妙に若くて浮いてるよなーと思っていたら、実は彼女は現役大学生の抗日スパイだった。そりゃー若くて当たり前だ。 若いし元々上流階級の出でもないので、大人の女性のたしなみにちょっと疎かったりする。映画中で何度もコップにベッタリと口紅を付けたままにしているシーンが挿入されますが、こういうシーンで彼女の妖艶でありながらも幼さを残すアンバランスさを上手に見せていると思いましたね。
おぼこ娘のワンが、ぷち気になる演劇部のイケメンに誘われた事がきっかけで抗日活動に身を投じる事になる訳ですが、この大学生グループの「なんちゃって抗日活動」のシーンが結構長くて正直ちょっとダレた。 どうやらメンバーの資産家ボンボンの親から資金提供を受けて、自分達だけでイーを暗殺しようと企むのですが、結果的には本気の抗日活動家組織には彼らの動きはバレバレで監視されていたし、あれだけ用心深いイーがマイ夫人の素性に疑問を持たない訳がないと思うんですよね。
そんな訳で、ちょっと白けた気分で「3年前の出来事」シーンを見ていたんですが・・・
でも再開後にイーがワンに「お前も変わった」と語るシーンを見て、もしかしたらこの人は最初から何もかもお見通しで、それでも尚ワンを愛さずにはいられなかったのだろうか?等と勝手に解釈してみた訳です。 散々登場するセックスシーンですが、最初はイーがワンをそれこそ強姦するかのように力ずくで事を成す。でも何度も体を重ねる内に、映画館に入る事すら「暗闇が怖いから」と拒否していたイーは、ワンが目隠しをしてセックスをする事すら受け入れてしまう。その直前にワンがイーの拳銃を見ている視線を追っていたにも関わらず。
過激なセックスシーンが話題になる作品って、セックスシーン自体に意味がないケースが多いので(ただの話題作り程度)正直余り好きではないのですが、本作に限って言えばセックスシーンは必要不可欠なモノだったと思いましたね。 イーとワンの体の交わりが、その回を重ねる毎にお互いの心の深部までを探り合う姿として描いていく。あの度重なる性描写があったからこそ、日本料理屋でワンが恋歌を唄い、イーが涙するシーンが観客の心を打ったと思うんです。
結果的にワンが捕らえられた後で、部下からワンの素性を知らされて「何で報告しなかったんだ」と憤っていたので、ぴよが勝手に解釈した「何もかもお見通しで」というのは違ったらしいんですが(苦笑) それでも男女の心の機微を、過激な表現ではあったものの非常に繊細に描いているなぁ〜と思いましたよ。
歴史モノの態を成していますが、本作は純粋に「恋愛映画」ですね。 正直言って「暗殺者が対象者に惚れちゃった」というプロットは実にありきたりで珍しくも何ともないです。 でも見せ方は上手いと思いましたね。それから役者の演技も実に良かった。新人ながら大胆な濡れ場も演じたタン・ウェイ嬢の熱演、それからトニー様のあの相手を射抜くような真っ直ぐな視線・・・いかん!思い出しただけでドキドキするっ!!
トニー様の魅力は、所詮ケツの青い小娘には判るまいて。 あ、本作R-18指定だから小娘ちゃんには鑑賞不可でしたね・・・ええ、ええ、大人になったら鑑賞してみて下さいヨ。
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