2008年01月24日(木) |
アメリカン・ギャングスター |
監督:リドリー・スコット 出演:デンゼル・ワシントン ラッセル・クロウ ライマリ・ナダル、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 1970年代初頭のアメリカNYのハーレム。ハーレムを仕切った伝説のギャングに長年仕えたフランク・ルーカスは、ボス亡き後に一匹狼となって今までになかった新しい「麻薬密売ルート」を確立させた。表向き目立った生活をしないフランクは、長い間暗黒街のボスだと知られずに生きていたが、遂に彼を目に留めた人物がいた。それは汚職がはびこる中で不正を良しとせずに仲間から孤立していた刑事「リッチー・ロバーツ」だった。
【感想】 リドリー・スコット監督、デンゼル×ラッセルの2大オスカー俳優の初共演で話題の作品。 デンゼル演じたフランク・ルーカス、ラッセル演じたリッチー・ロバーツ共に実在する人物・・・予告編でも謳っていますが本作は事実を元に作られた作品です。上映時間は2時間37分。長い。長いぞー(薄涙)
確かに上映時間は長いのですが、その長さをそれほど感じさせる事はありません。 静かでありながら圧倒的な画力、圧倒的な演技力、全く違う生き方をしていく男達が、それぞれの男の生き様をこれでもかと見せ付けてくれて・・・よっぽど映画が嫌いかこの手のジャンルに鳥肌が立つという拒絶反応がある人以外ならスクリーンに見入る事は確実ですね。
デンゼル×ラッセルの初共演、という事でどんな丁々発止が見られるのかと思いきや、なかなか2人が絡まない。 フランクがハーレムの一匹狼としてのし上がって行くパート、リッチーが汚職を嫌って仲間内から孤立してしまうものの、その刑事としての高潔な姿勢を買われて麻薬捜査官として抜擢され、遂には誰も想像もしていなかった「黒人ギャング」に辿り着くまでのパート、と2つの話が同時進行で交互に描かれていきます。
まあ、とにかくデンゼルもラッセルも上手い。上手いからオスカー取ってるんだけど、でもやっぱ上手い!
デンゼルは最初の頃「ギャングのボスって柄じゃないよな、この人。余りにも品が良すぎるいい人系の顔立ちだし」と思っていたんだけど、フランク役はデンゼルじゃなければダメだったのだというのが後によく判る。 実際のフランクも表向きは非常に地味で真面目な生活を送っていたそうで、だからこそ長きに渡りフランクが実は裏の麻薬王なのだと気付かれなかったらしいですから。 劇中でもフランクの生活振りを調べ上げた捜査官達が「コイツは違うだろ」と誰もが評している。
ラッセル演じるリッチーも非常に魅力的なキャラクター作りがされていた。 プライベートは女にだらしがなくどうしようもないオヤジなんだけど、人間として実に高潔。刑事という特権を生かして汚職まみれになっている周囲に染まらず、孤軍奮闘して巨悪を叩く事に心血を注いでいる。 最初はやっぱり「ラッセルとデンゼル、演じるキャラが逆なんじゃねーの?(苦笑)」と思っていたものの、女にだらしない役はやっぱりラッセルじゃないとねー♪(をい)
映画中盤までのシーンはもっと端折れるだろう、後30分は短縮出来るんじゃないか?とは思う。 物凄く描き込みが緻密で丁寧なんですね。でもちょっと丁寧過ぎるかなー・・・と思うものの、実際この上映時間できっちり丁寧に人物描写を見せてもらえたからこそ、フランクという人物に抗え難い魅力を感じてしまったのか?とも思えるし。 コレはちょっと評価し辛いトコロ(^-^;
結構衝撃的だったのは、フランクが「全く新しい麻薬密売ルート」を思い付いたきっかけが、70年代当時流行り出した大型量販店と日本の家電メーカーのアメリカ進出のノウハウだったという事。 日本はアメリカの猿真似だと当時揶揄されていたものだけど、とんだ場所で日本のやり方が生かされていたという驚き。
既存の「ギャング映画」のような派手なシーンは少なく、麻薬王と刑事の生き様、そして当時のアメリカの腐敗した警察や社会構造等を淡々と丁寧に見せていく作りなので、華々しい映画を期待していると肩透かしを食らいそうです。 本作は実在した麻薬王と刑事を題材に取っていますが、決して「ギャング映画」ではなく「社会派モノ」ですね。
社会派似非ノンフィクションドラマだと思って見れば、かなり評価は高くなるんじゃないかと?ぴよは好きな映画です。
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