監督:松岡錠司 出演:小林薫 安田成美 伊藤淳史、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 みたま市文化会館の主任・飯塚は、仕事も家庭もその場しのぎの典型的ダメ公務員。年も押し迫った12月30日、翌日の夜に予約が入っているコーラスグループからの問い合わせ電話がきっかけで、「みたまレディースコーラス」と「みたまコーラスガールズ」というよく似た名前を取り違えた飯塚はダブルブッキングしていた事にようやく気付く。慌てて双方に事情を説明するものの、どちらも一歩も引かない膠着状態になり途方に暮れるのだが・・・
【感想】 立川志の輔氏の同名創作落語を映画化。 古典落語を映画化したものは何度か見た記憶がありますが、新作の創作落語を映画化というのは珍しいかも? 監督は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(ぴよは未見)」で大ヒットを飛ばした松岡錠司氏。主演のダメ主任を演じるのは東京タワーにも出演していた小林薫氏。それからコーラスガールズのリーダーを6年振りにスクリーン復帰の安田成美ちゃん、敵対するレディースコーラスのリーダーを「本気のコーラス歌手」由紀さおりさんが演じています。
「歓喜の歌」とはズバリ、大晦日に毎年アチコチの音楽ホールで演奏される「第九」の事。 映画の話も大晦日の夜にダブルブッキングしてしまった2つのコーラスグループを巡るドタバタを中心に、その騒動を引き起こしてしまった文化会館のダメ主任の2日間の迷走っぷりを見せるという展開になっています。
「大晦日の第九ネタ」なら、どうして年末に公開しないんだろう?と思われる方が多いと思いますが、コレはどうやら最初はフル回転で作って年末公開に間に合わせようと頑張ったものの、余りに日数が足らなくて編集が間に合わず、やむなく年明けの今になって公開になってしまったというのが真相だそうです。 ・・・だったら思い切ってフィルム寝かせて、今年の年末公開にしてもいい気がするけどなぁ(ぼそ)
チケがなかなか取れないと評判の志の輔師匠の新作落語の映画化ですからどれだけ笑えるんだろうと思いきや、いわゆる人情話が先行の「ゆるいほっこりコメディ」という感じでした。 実際に師匠の高座に足を運んだ事がないので比較出来ませんが、コレはコレで上手く作ってあったと思います。
小林薫氏の演技が光る作品でしたね。 「どこにでもいそうな普通の人」というのは、実は一番演じるのが難しいんじゃないかと思う。 キワモノキャラやクセのあるキャラの方がインパクトを出しやすいので、大根でも簡単に演じられる。でもこの映画に登場するダメ公務員の典型のような凡庸なキャラというのは、実はとても難しそう。 それを観客に飽きさせる事なく、突出し過ぎず、かと言って無個性でなく、更に客に愛されるキャラにする。 小林氏は素晴らしい役者さんだなぁ〜と改めて思いましたね。
それから久し振りにスクリーン復帰した安田成美サン・・・可愛過ぎるからっ!! 何?あの癒し系!マジ萌えるわ。ほとんど仕事らしい仕事しないで家事と子育てしてたんじゃないの!? どうしてフツーの主婦してたハズの人があんなに所帯染みないでいられるのか、本気で小一時間問い詰めたいですよっ ぴよの中で彼女と同じ系統で「菊池桃子サン」という札もあるんですが・・・芸能人って不思議がいっぱい(笑)
内容については、まあ正直言って「誰でも安心して見れる(言い方変えれば凡庸な)展開」でして。 相対する2つのコーラスグループが、片や「歴史あるおハイソおばさま軍団」片や「新興庶民派パート主婦軍団」で、映画では庶民派軍団の方に肩入れした見せ方になっていたんですが(成美サンが庶民派チーム代表だったからね)、 個人的には庶民派軍団の方に肩入れして見せるなら、場所の取り合いをしているおハイソ軍団の方はもっと感じの悪いエゲツない気取ったババア達、という設定にしてもらった方が、後の展開が生きたのでは?という気がしましたが。
かなり強引な展開も多々あってツッコミ所満載ではあるものの、主人公・飯塚のドラマを主軸に見せつつコーラスガールズのメンバー個々の人情話等を小まめに挿入して目線を変える事で、観客を飽きずにクライマックスまで引っ張って行ったのはなかなか脚本が練れていたと思いましたね。
悪人なしのほっこりコメディなので、日本人の気質によく合う作品だとは思いますが・・・ 正直言って「ここんとこ邦画で量産されてる系統」でしかなく、特に思い入れを持てる程ではありませんでした(^-^;
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