2008年01月15日(火) |
テラビシアにかける橋 |
監督:ガボア・クスポ 出演:ジョシュ・ハッチャーソン アナソフィア・ロブ ロバート・パトリック、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 11歳のジェス少年は学校ではいじめられっ子、家は貧乏の子沢山でお金がなくて常にイライラしている両親とこしゃまっくれた妹に振り回されて散々な毎日。絵を描くのが大好きだったジェスは日々絵を描いて自分の世界に閉じこもっていた。そんなある日隣の家に女の子が引っ越して来た。彼女「レスリー」はとびきり個性的で活発な女の子。現実社会に溶け込めず、豊かな想像力を持つ2人はたちまち仲良くなり、2人で空想の国「テラビシア」を創って毎日遊ぶようになる。
【感想】 キャラリン・パターソンが1977年に発表した同名タイトル児童小説の映画化。 子供が中心の話なので、年に数本「大作映画」しか映画を見ないような方にはあまり馴染みのない役者さんしか出演していないので、日本でどれくらいウケるのか微妙な感じなのですが・・・本国アメリカでは昨年2月公開した際、大作映画が封切らないシーズンだった事も手伝ってかなりのヒットを飛ばしたそうです。
「児童小説の映画化って事はお子向けファンタジーね(軽く溜息)」という気持ちで鑑賞していたのですが、この作品の作りは子供よりもむしろ「かつて子供だった人」を対象にしているな、という感じがしました。 逆に今現役のお子様が見ても、本作の素晴らしさは判らないんじゃないだろうか?という気がします。
微妙〜に安い作りで(予算があまりなかった?)CG等も正直言ってショボいし、レスリーがジェスに向かって大真面目な顔をして「心を開いて、心の目で見るのよ!」なんて言ってるシーンを見ながら「11歳になって心の目もクソもないだろ。見えねーもんは見えねーよ」なんて、ちょっぴり毒づきながら見ていたんですが、←今日も相変わらず辛らつ(^-^;
そうじゃないんだなぁ。 人生を楽しむ術を知るのは、きっとこの時代なんだろうと。人付き合いのノウハウも、相手の心を思い遣る気持ちも、親友と呼べる友達に出会って友情を確かめ合うのも、そして生まれた環境によって生活の質が変わってしまうのは自分の力だけではどうしようもない事なのだ、という「大人の事情」を知ってしまうのも、全てこの時代なんだろうと。
子供社会の人間関係の縮図の見せ方も秀逸で、様々なエピソードを見せながら時に反撃に出てみたり、時に勝ち目のない戦はすまいと引き下がったり、そしていじめっ子が実は虚勢を張ってる弱い人間なのだ(いじめっ子にならざるを得なかった理由)等を上手く配置して、ただの子供から1つずつ「大人」への階段を上っていく心理を見せて行きます。
で、「ああ、こんな事が自分の子供の頃にもあったよな・・・」と思いながら見ていると、話が急展開する。 もうここからは怒涛の泣きモード。いきなり降って沸いたようなネタに「はぁ!?」と思いながら見ていたのですが、ジェスの後悔がよく分かるだけに本当に切なかった。 「あの時ああしておけばこんな事にならなかったのに」という思いは、何度経験しても性懲りなく大人になった今でもやらかしてしまうのですが、本作のジェスと似たような経験があるぴよは、もう涙なくして見れなかったです。
自分でも意外だった?のですが、涙腺が決壊したのは担任のちょっぴり意地悪っぽい先生がジェスを廊下に呼び出して語りを入れるシーン。彼女の言葉は同じ思いを味わった人にしか語れない言葉だった。 それから、まるで自分の事は歯牙にもかけていないと思っていた父親がジェスを抱きしめるシーンは、普段はそっけなくてもここぞという時にはしっかりと息子を見つめているという父親の情を感じさせてくれて・・・ってかもう泣きっぱなし(^-^;
正直、途中までは「まーなんだな、子供向けファンタジーってのはかったるいもんだな」みたいな気分だったのに、映画が終わってみると「泣きまくって化粧全落ち状態」じゃないですか(苦笑)
多分にぴよ自身が子供時代に似たような経験があったから、という事もあると思うのですが、そうでなくてもとても懐かしい気持ちになれる「子供向けと見せかけて、実は大人向け」のファンタジーではなくて「ヒューマンドラマ」でしたね。 お子様向けなのかは正直判りませんが、少なくとも大人が感動出来る秀作です。地味〜な作りですけどネ(^-^;
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