監督:三木聡 出演:オダギリジョー 三浦友和 小泉今日子、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 大学8年の文哉は天涯孤独の上、自堕落な生活の末に借金まみれになっていた。返済期限を3日後に控えた所に借金取りの福原がやって来て「俺と一緒に東京を散歩したら100万やる」と提案されて付き合う事に。福原は自分の思い出の場所をプラプラと散歩しながら、何故自分がこの散歩をするのかを語り出すのだが・・・
【感想】 藤田宣永氏著の同名タイトル小説の映画化。 「時効警察」の三木監督がオダギリジョー君とまた組んで作った新作ですが・・・時効警察未見。ちなみに原作も未読。 個人的にオダギリジョー君も三浦友和さんも好きなので、キャストだけで内容はどーでもよかったんですが(をい)
まあ、三木ワールドです。 彼の作品は「イン・ザ・プール」と「亀は意外と速く泳ぐ」の2作見てますが(イン・ザ・プールにもオダギリ君出てたね)、過去に見た作品とほぼ似たり寄ったりの作風なので、三木作品ファンなら安心して楽しめます。 どんな作風なのかと言うと、一言で言うと「ゆるゆる脱力コメディ」って感じですか。最近こういうの流行ってますね。
そんな訳で「またこのパターンかよ」と思う人には全く向きませんが、「三木ワールドだねぇ♪」と思えるなら最強。 個人的には三木監督のテンポって実はそんなに嫌いじゃないです。いやむしろかなり好きな部類なのかもしれない。
本作は主人公が借金チャラにしてもらえるというエサに食いついて、訳も判らずおっさんと2人で都内をプラプラと散歩するというだけの話なんですが、全く話の筋とは関係ない小ネタを随所に挿入してゆるゆると話を進めていきます。 ゆるゆると進めるってか、本当にある目的地に行くというだけの話なので進むもクソもないんですが(コラ)
一応その目的地に辿り着くまでに、おやじの事情と主人公の借金大学8年生の兄ちゃんの事情がつまびらかにされて、その事情に絡むエピソードがジワジワと絡んで来るという展開になってます。 このゆるいテンポとゆるいギャグネタと役者の演技が妙にツボに入りましたね。 オダギリ君はもう思いっきり「こんなやる気のなさそーなオダギリ君のキャラが好き♪」という腐女子ファン大喜びのキャラそのままですし、何と言っても三浦友和さんのキャラは秀逸でした。 彼って本当に中年になってからいい役者さんになったよなぁ〜と思えるようになりました。本作もバッチリです☆
妻との思い出や子供時代からの思い出を大切にしている福原と、幼少期に両親に捨てられて「家族の愛」というものを感じた事もなく思い出も持たない文哉、という対極の2人が散歩をしながらずっと語り合い続ける事で、文哉は次第に福原に対して擬似家族のような親近感を持つようになる。 ここらの描写は本当に上手かった。キョンキョン(←って今は言わない?)が登場して来た辺りからの展開は特にいい。
小ネタのゆるさ加減も好きだし、妻のバイト先の3人組のキャラも本筋に全く絡まないけどいいスパイスになってる。 (ちなみにこの3人組のネタはラストのスタッフロール後に更に続くので、直ぐに席を立たないように!) 切なくて優しくて、それでいてオチも何もなくて肩透かしな終わり方がむしろこの映画の作風に合っていて気持ちいい。
ツボに入れば最強だけど、入らなかったら「金返せー!」なクソ映画扱いになる?・・・でもぴよはこういう作品は好き♪
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