ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年12月11日(火) 魍魎の匣

監督:原田眞人
出演:堤真一
    椎名桔平
    黒木瞳、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
戦後間もない東京。世間は連続少女バラバラ殺人事件に沸いていた。作家の関口は京極堂の妹で雑誌記者を勤める敦子と共に、ある新興宗教の陰謀を調査する事となった。探偵の榎木津は行方不明になった娘を探して欲しいと、元女優の陽子から依頼を受けて調査。そして刑事の木場修は巨大な匣(はこ)型の施設の謎を追う・・・各々は行き詰って古書店主にして宮司で憑き物落としをする「京極堂」の元に集まり、点と点が一つの線に繋がっていく。


【感想】
京極夏彦氏著の大ベストセラー「京極堂」シリーズ2作目にして最高傑作と誉れ高い「魍魎の匣(はこ)」の映画化。
1作目の「姑獲鳥(うぶめ)の夏」は2年前に既に映画化されていますが、本作は前作のキャストがほぼ全員再集結。唯一関口を演じた永瀬さんは体調不良?で降板し、椎名桔平さんにバトンタッチ。

本作は珍しく原作を数年前に読んでいまして・・・京極堂シリーズは「姑獲鳥の夏」から「鉄鼠の檻」までしか読んでいないのですが、個人的には京極堂シリーズの中では本作が一番面白かった。
もっと言うと、本作が余りにも面白かったのでその後読み進めた「狂骨の夢」も「鉄鼠の檻」も勿論とても良く出来た作品だとは思ったものの、どうしても魍魎と比べて「魍魎〜程じゃないなぁ」と思ってしまい、更にこのシリーズってどんどん話が長く本が分厚くなって行くので・・・着いて行けずに読むのやめちゃった♪(をい)

そんな訳で本作ですが。
原作を読んだのは随分前なので、既に細かいディティールを忘れているのですが、本作は基本的には原作に忠実に作られていたと思います。加菜子は確か最初は陽子の妹という設定だったハズなんですが・・・まあ黒木さんが陽子を演じるなら最初から母娘と言ってしまった方が自然ですわな(苦笑)

あのクソ長い原作をたったの2時間13分にまとめてしまわなければならないので、駆け足で原作のあらすじだけを追い掛けるので一杯一杯だろうな、と意地悪な目で鑑賞していたのですが、本作なかなか脚本がよく練れています。
話自体が主要メンバーそれぞれが別のネタを追っていて、それが後に1つの事件に集約していくという構成なので、それを生かして「榎木津と陽子」「関口と敦子と鳥口」「青木刑事と木場刑事」「京極堂と魍魎」と4つのパートに分け、更に時間軸を微妙にずらして見せる事でお互いの関係が交錯していく様子を上手く見せて行きます。

実を言うと、小説を読んでいた時はバラバラ死体の様子や匣の中、例の研究所での加菜子の様子等の描写を、自分の頭の中でどんな様子なのか想像しながら読んでいる訳で・・・相当グロいモノを想像していて軽く吐き気を起こすくらいだったんですが(苦笑)、本作でそれが正に映像化されて「どーなっちゃうんだいっ!」と思っていたら、自分が想像していたよりはずっとマシ?な様子だったのでちょっと安心した次第。
いや、でも本作はかーなーりーグロいシーンが出てきますので、ホラー嫌いの方は心して見て下さい(^-^;

前作では主要人物のキャスティングが、自分が原作を読みながら当て込んでいた人物像と随分ギャップがあったので微妙に違和感を感じながら見ていたのですが、2作目ともなると演技も板に付いてストレスは感じません。
もし映画を先に見てから原作を読んだら、頭の中では本作の役者さんをそれぞれのキャラに当てはめながらすんなり読めるであろう位に、本作の役者さんはよく頑張ったと思いますね。

特に本作のゲストキャラ(黒木さん、クドカン、柄本さん)は大変だっただろうと思いますが・・・
個人的に黒木さんは原作キャラより少しお歳を召され過ぎている?という気がしますが、柄本さんは素晴らしかったと思うしクドカンはよくやったと思いますよ。
榎木津の回想シーンに出て来る、あの振り返った時の顔・・・思い返しただけでも鳥肌が立ちますって!

原作自体が非常に読み下し難い、難解で回りくどい表現が多用された文体なので、それをサラサラ〜っと映像で見せようと思うとどうしても「え?今の会話って何言ってたの?」的な難解な会話になってしまうのは致し方がないとは思う。
だからお子様には全く向かない。大人でも小説を読みなれているタイプの人じゃないと厳しいんじゃないか?

それでも本作は非常に頑張っていると思いますね。原作よりも遥かに判りやすくセリフを作っていました。
・・・でも、一緒に本作を見に行ったぴよのママは「何言ってるかさっぱりわかんなくてさー」と言ってましたが(苦笑)
細かいセリフの意味を考えている間にどんどん話が進んで行くので難しい事は難しいんだけど、それでも話の筋が判らなくなる程ではなかったそうですよ。「話はとっても面白い」って言ってたし。

個人的には、原作で読んだ時に感じた程の「切なさ」を感じられなかったのがちょっと物足りませんが、ファンの多い名作を映画化するというのは誰もがそれぞれ違った思い入れがあるから不満が出ても当たり前。
本作はそれを程よくクリアーして作っていると思いますよ。原作未読の方も是非ご覧になって下さいな♪







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