2007年11月12日(月) |
マイティ・ハート −愛と絆− |
監督:マイケル・ウィンターボトム 出演:アンジェリーナ・ジョリー ダン・ファターマン アーチー・パンジャビ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 2002年パキスタン・カラチ。ウォールストリート・ジャーナル誌の記者ダニエル・パールは、妻マリアンヌとディナーの約束をしてパキスタンでの最後の取材に出掛けた。ところが夜になっても夫が戻って来ない。マリアンヌは妊娠5ヶ月という身重の体ながら気丈に振舞い、同僚記者・友人・地元警察やFBI捜査官も集まり必死の捜査を展開させる。犯人グループから夫の写真付きの犯行声明文が届けられて、一気に緊張の度合いが高まるが・・・
【感想】 2002年にパキスタンで誘拐されて衝撃的な結末を迎えた、ウォールストリート・ジャーナル誌の記者ダニエル・パール氏の事件真相を綴った著「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」を映画化。 原作本は夫と共にジャーナリストだった妻マリアンヌによって書かれ、この本を読んで感銘を受けたブラッド・ピットが自身が持つ制作会社で映画化権を取得。更にそのマリアンヌ役と妻のアンジェリーナ・ジョリーに演じさせて夫唱婦随で頑張ってますよ〜ん♪夫婦雁首揃えて話題も2倍〜♪みたいな、上手い商売コイてます(をい)
この事件、当時世界中のマスコミをにぎわせていたのでぴよもよく覚えています。 そして余りにも衝撃的な結末も・・・この事件を全く知らない人が本作を見たら相当ショックでしょう。 映画のタイトルと「ブラピ製作・アンジー主演」というフレコミだけで「わ♪しっとり系のラブロマンスぅ?」なんてとんでもない勘違いして、デートムービーとしてチョイスしようものならエライ目に遭ってしまう(苦笑)
事件の事は勿論覚えていましたが、そこはそれ、映画(エンターテイメント)な訳ですからネ。 正直言うとぴよも「何だかんだでサスペンス色を濃くして煽りまくって、マリアンヌがカッコイイねーさんで素敵ラブサスペンス物に仕立ててあんだろーなー」位には思っていた訳ですよ。
そーしたら、物凄くストイックな作りでしたね。 敢えてエンターテイメント性を失くす事に心を砕いて作っているかのようです。ドキュメンタリーっぽい作りで、非常に淡々と事件当時のマリアンヌ以下ダニエル氏を捜索する様々な立場の人間の様子を描き出し、まるで観客がマリアンヌに感情移入するのを拒んでいるような感じすら受けました。
そんな訳で、マリアンヌに感情移入出来ませんでした。←こらこらこら(^-^; 彼女自身もジャーナリストだったというのを考慮しても、ここまで強い女性って本当に世の中にいるもんなのか!?と驚愕こそすれ、彼女自身がこの事件で何を思い何を感じていたのかを汲み取る事がぴよには出来ませんでした。 実際の彼女がこういう対処でこういう態度だったんでしょう。でもコレは映画なんだから、もう少し観客が彼女に同情したり共感し易いように演出して誘導してくれてもいいんじゃないかなぁ?という気はしたんですが。
映画中何度もスクリーンにアザーン(イスラム教の1日5回の礼拝時間を知らせる呼び掛け)の声が流れ、敬虔なムスリム達が祈りを捧げるシーンが映し出される。必死にダニエルの行方を捜し、容疑者を次々と補足していく地元警察のかなり荒っぽい突撃劇を、暗い目で眺めるムスリム達が映し出される。
全てのパキスタン人を、ムスリムを、「ヤツらはテロリストなのだ」という認識で本作を見て欲しくないな、と思います。 マリアンヌも事件後のインタビューに「パキスタン人(テロリスト)に対してどう思うか?」との質問に、彼女らしい真摯で誠実な態度で答えていました。本音は「みんな殺してやりたい位呪っている」かもしれないけど、それでもジャーナリストとして、他宗教ではあっても信仰を持つ身として、精一杯の言葉で語っていました。 だから、本作は決して「パキ人は悪・ムスリムは悪」という誘導映画ではない、とぴよは思っています。
では本作は何が言いたかったのか・・・女性は強い、母になる人というのはこんなに強いのだと言いたかった? そうでもない気がしますね。確かに彼女は強い女性だったけど、それ程マリアンヌに感情移入出来る作りではないし、でもテロ国家を叩くという風にも見えない。「愛と絆」という副題が付いてますが、夫婦愛の部分が強調されてる訳でもない。
結局、「だから何が言いたかったんだ?」という感想しか浮かばず(苦笑)、とても真面目に真摯に作られた作品だというのは判るのですが、そこから自分の中に残るものが何もなかった・・・うーん。 この作品、本当に感想書くのが難しかったです。決して悪い作品じゃないんだけど、何も心に残らないってさー(^-^;
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