2007年09月20日(木) |
LONDON CALLING/ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー |
監督:ジュリアン・テンプル 出演:ジョー・ストラマー ジョニー・デップ ボノ(U2)、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 今も尚様々なシーンに影響を与え続ける伝説のパンク・バンド「THE CLASH(ザ・クラッシュ)」、そのフロントマンのジョー・ストラマーは今もパンクファンのみならず、世界中の人々を魅了し続けている。そんなジョー・ストラマーの不器用なまで真っ直ぐだった生きざまを、彼と親交のあった世界のTOPアーティスト達のインタビューを交え綴る。
【感想】 70〜80年代のミュージック・シーンの中で台頭し、突出した人気を博した伝説のパンク・バンド「THE CLASH」のカリスマフロントマン「ジョー・ストラマー」の生涯を過去の映像+生前彼に関わりのあった様々な人々のインタビューをを交えて織り成すドキュメンタリー(実録映像、と言った方がいいか?)
一応知らない人の為に書きますが、ジョー・ストラマー氏は故人です。 2002年12月に心臓発作により自宅で死亡。何と50歳という若さでこの世を去ってしまいました。非常に残念です。 勿論ぴよは「THE CLASH」も「ジョー・ストラマー」も楽曲も何曲かは知ってますよ。知ってますが・・・特に心酔する程のファンではありませんでした。だから本作を見てジョー・ストラマーという人の生い立ちや人生観、そして「THE CLASH」が追った変遷を初めて知りました。
若くして死んだカリスマロッカーと言うのは洋の東西を問わず「伝説視」されるものだというのは判ってます。 それにしてもですね、この「ジョー・ストラマー」という人程、市井の1ファンのみならず、今現在カリスマと持てはやされている各界のトップアーティスト達にこれ程強烈にして鮮烈な印象を残し、そして今もまだ昨日の事のように熱く語られる人物というのはいるのだろうか?
意外な事に、ジョーは「ええとこのおぼっちゃん」だった(彼の父は外交官で、幼少時代は世界各国を渡り歩いている) それを密かに自分では恥ずかしい事だと思っていたようだ。きっとロッカーは貧しく不遇な出自の方がハングリー精神旺盛でカッコイイとか、いかにもロッカーらしいという先入観でも持っていたのだろうか? 確かに「ええとこのボンボンのロッカー」って何だかしまらない(苦笑)、それを彼も感じていたんだろうと思う。
ロカビリー系バンド?で結構人気になっていたのに「セックス・ピストルズ」のライブを見て「コイツら、俺の何百万年も先を行ってるじゃねーか!」って感動しちゃって、サッサと元いたバンド解散して「THE CLASH」を結成しちゃうとか・・・すっごく骨太な印象の割りに妙に素直でニュートラルな人なんだよね(笑)
でも、そこがステキなんですよ。ステキに見える人なんですよ。 「男のプライド」とか言って、妙に俺様気取りで他人の意見や世間が見えてないドン引きヤローって多いじゃないですか。 彼はそうじゃない。いい物はいいと素直に認めるし、自分のスタンスとして持っているモノの軸にブレはない。その彼の立ち位置や行動・言動・思想が、ことごとく人を魅了する魅力に溢れているんですよ。 「どこまでも着いていきたいと思わせる、頼れるアニキ」・・・正にこんな感じ。
「THE CLASH」の楽曲は何曲かは知っていましたが、本作の中でライブシーン等を流してくれた際に歌詞を日本語訳して字幕に載せてくれていましてね、THE CLASHの楽曲の歌詞を初めて咀嚼したんですよ。 コレが、この内容が・・・あのパンク・ロックのカリスマ「THE CLASH」が歌って伝えたかった事だったの?マジで!? 今まで勝手に「パンク・ロックなんてメロディーのノリとバンドマン達の派手なパフォーマンスだけっしょ?」なんてタカ括ってた自分を激しく恥じましたよ。 常にその時代を生きる全ての人達に捧げる、社会のゆがみ・市民の嘆きと怒りを代弁する、素晴らしい歌詞だった。
正直言って、本作をわざわざ金払って見よう!という人は「THE CLASH」のファンくらいしかいないかもしれない。 実際かなり地味で淡々とした作りですから(言い方悪いが、この手によくありがちな故人を偲ぶドキュメンタリー風)、映画始まって10分も経つかどうかでウトウトしちゃう人もいるんじゃないか?って気もします(苦笑)
でも、例えウトウトしても・・・ファンじゃない人も、ジョー・ストラマーという人物を全く知らない人も、何がしか本作を見る事で感じるものがあるだろうと思いますね。彼の生き様に心震えて欲しいと思いますね。 映画中で生前ジョーが残した数々の名言が披露されます。ココには敢えて書きません。是非劇場で鑑賞して欲しい!
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