2007年09月03日(月) |
レミーのおいしいレストラン |
監督:ブラッド・バード 声の出演:パットン・オズワルト(レミー) ルー・ロマノ(リングイニ) ブラッド・ギャレッド(グストー)、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 レミーは並外れた嗅覚と味覚を持つネズミ。夢は憧れの名シェフ・故グストーのようなシェフになる事。ある嵐の夜に仲間とはぐれて1人ぼっちになってしまったレミーはパリに流れ着く。グストーの幻に促されるようにグストーが経営していたレストランにやって来たレミーは、そこで料理の全く出来ない見習いのリングイニと出会う。厨房の嫌われ者だけど料理がしたいレミーと料理が出来ないけどクビになりたくないリングイニ、1匹と1人は手に手を取って奇跡を起こす・・・
【感想】 言わずとしれたピクサーの最新作。 今頃鑑賞ですよぅ〜。夏の暑さにやられてすっかり映画館から足が遠退いてましたが、ちょっと涼しくなったので復活。 「この映画も公開終了かな?もうガラガラでしょ」と思ったら、意外に客が入ってましたね。もしかしたらぴよと同じように暑い間引きこもっていた人達が、9月になって映画館に舞い戻ってきたという事なんでしょうか?(苦笑)
ピクサーと言えば、まずはその映像美を褒め称えなければいけない。 毎回毎回ピクサー作品を見る度に「一作毎に進化して」等と陳腐な事ばかり書いていますが、新作を出す度に映像を進化させなければいけないという重圧は相当のものだろうと思います。ジブリなんてどんどん劣化してますしねぇ(をい) それなのに、ピクサーったら本当に新作出す度に進化しちゃってる。コレは素直にスゴイ事だと思う。
そんな訳で本作の映像の美しさも正に筆舌に尽くし難い。 キャラクターの質感のリアルさは言うに及ばず、建物や風景等は「実写か?」と一瞬目を疑いたくなる程だし、なにより本作で重要な位置付けである「料理」が実に美味しそうに描かれているのはスゴイ。 実写でも料理を美味しそうに見せるのは難しいと思うのに、アニメーションでここまで美味しそうに料理を見せる事が出来るのは、世界広しと言えどやっぱりピクサーしかないだろうと思いましたね。
主人公がネズミという事で、ネズミ視点の映像が多い。コレも凄かった。 厨房をネズミの視点で低い位置から・高い位置から・食器越しから、様々な視点で見せてくれますが、ネズミの動きと視点を実に研究し尽くして手を抜かずに映像化している。もうこんな事出来るのってホントにピクサーしかないでしょー!
と、映像に関しては本当に手放しで大絶賛なんですが・・・話は至って凡庸。 「ネズミが高級レストランのシェフになる」という予告編を見ただけで、大体こんな展開になるんだろうな、と想像していたら本当に想像した通りの展開。何のヒネリもなければ何のサプライズもない。 しかも本作の原題は「Ratatouille(ラタトゥイユ)」と言うんだけど(映画見るまで原題知らなかった)、原題がスクリーンに映った途端にクライマックスの展開まで判っちゃったじゃないですか。
※ラタトゥイユ→南仏の超ポピュラーな家庭料理。高級レストランでメイン料理として出される事はまず在り得ない
所詮子供向けのアニメーションなんだから、ありきたりで誰もが判り易いハッピーな展開でいい? ぴよはそうは思いませんよ。少なくともピクサーの作品についてはそうは思いません。ピクサーのスタッフは自分達が作り出すモノが子供にしかウケていないなんて思っていないでしょ?むしろ子供よりも大人の方が自分達の作ったモノに熱い視線を送っている事を充分承知しているでしょ。 ピクサーには大人をも唸らせる脚本や展開を提供する義務が既にあるんじゃないかとぴよは思います。
確かに大人だけが楽しめればいいってもんでもないので、この展開に文句を付けるのは筋違いだと思う。 でも、本作の設定やエピソード等はかなり大人も意識したものになっていると思うし、これだけのクオリティの映像を提供してくれちゃっているんですから・・・せめてもう少しキャラクターの心理描写を掘り下げて見せるとか、レミーとリングイニの心の結び付き部分、特に大人にウケそうなイーゴのキャラの掘り下げ(何故執拗にグストーの料理を叩いたのか?等)を丁寧に見せてくれれば良かったのにな、と思いましたね。
既にディスニー傘下だから、今後も「あくまで対象は子供向け」の作品しか作ってくれないんでしょうか・・・ 一度でいいからピクサーには「R-12」位の(18禁とは流石に言わんよ)、本気で大人向けの作品を作って欲しい!!
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