2007年07月07日(土) |
遊びの時間は終らない |
監督:萩庭貞明 出演:本木雅弘 石橋蓮司 原田大二郎、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 国民の警察への信頼感をアピールする為に「筋書きのない銀行強盗の予行演習」を企画したものの、たまたま犯人役に任命された若き警官・平田道夫が余りに生真面目な性格だった為、事態は思わぬ方向に進んでしまう。平田は犯人のプロファイル・犯罪心理等を完璧に勉強し作り上げ、役に成り切る余り銀行に篭城してマスコミがTV報道し、野次馬が膨れ上がって大騒ぎに。警察幹部も平田を逮捕するまでは引くに引けなくなってしまう。
【感想】 都井邦彦氏著の同名タイトル小説の映画化。1991年製作の作品です。 16年も前に公開された作品なのですが、ぴよのHRC(ハードロックカフェ)友達H氏から強くオススメされてDVDまで貸して頂けたので、ありがたーく鑑賞。H氏、本当にありがとうございました!
これは・・・マジで面白い! 映画冒頭で、本筋とは関係のない無銭飲食の親父を逮捕して調書を書くシーン(平田の独白)や、一見意味のなさそうな書籍や雑誌記事のカット、コマンドーコスプレ遊びのようなシーンが何も説明されずに入っているのですが、コレが後の展開への重要な伏線になっているというのが気が利いています。
最初は何の説明もなく話が進むので見ていて戸惑うのですが、話が混乱する事はありません。 話は主人公平田が篭城している銀行内の様子、警察上層部の様子、そしてマスコミと野次馬達の様子の3つのシーンを上手い具合に配分してお互いをリンクさせつつ見せて行きます。
そもそも実際には在り得ない設定の話なんだけど、そこを度外視して楽しめれば本作は最強! 予想の付かない展開の数々、予想が付かないもののもし実際にこんな事が起こり得たらマスコミはどう対応するか・市井の人々はどんな反応をするか、そして警察上部はどういう動きをするかというのが「この展開は充分に在り得る!」と思わせるようなリアルな感じで描かれているのが非常に面白い。 日本の官僚主義・エリート社会をさりげなく皮肉ってるのも、リアル感がより一層強調されて楽しい♪
それに本作、キャスティングが絶妙でしたね。 モックンが若い!ってかこの人本当にイケメンだわー♪それに演技もいい。石橋蓮司さんや萩原流行さんもキャラにぴったりハマってて秀逸。警察側の深川・鳥飼・佐原の3人組なんて「踊る大捜査線」のスリーアミーゴスの原型?って感じ。 でもコチラの3人組の方が大真面目でシリアスな分、コメディとして昇華させるのが難しいだろうと思うのですが、それが実に上手い具合に調理されていて個人的にはスリーアミーゴスよりも本作の方がずっと好感が持てます。 スリーアミーゴスが誰でも楽しめる判りやすいコメディだとすれば、コチラはヒネリの利いた大人のコメディという感じ。 強いて難を言えば、多少増長に感じるエピソードがあった事と、クライマックスで「今平田を狙撃出来るだろ!」というツッコミを誰もが出来る場面があった位かなぁ・・・ここまで完璧に犯人を演じて来たのに、最後の最後でどうして観客がツッコミ入れられるような手順にしてしまったのか?惜しいなぁ〜。
でもいかにも続きがありそうな微妙な匙加減の締め方も、映画では見せなかった後のシーンを観客各々に想像させて楽しませようという意図なのか?洒脱で大人向きの・・・読書好きの人を喜ばせるような作りでした。 ご覧になってない方、古い作品ですがコレは本当によく出来た作品ですよ!機会があったら是非見て下さい♪
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