ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年06月26日(火) 夕凪の街 桜の国

監督:佐々部清
出演:田中麗奈
    麻生久美子
    吉沢悠、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
原爆投下から13年後の広島。OLの平野皆実は会社の同僚・打越から求愛されるものの、原爆で父と妹を亡くしたにも関わらず自分が生き残ってしまった事がトラウマになり、打越の愛を受け入れる事に躊躇していた。そんな矢先に皆実の体に原爆症の症状が現れる。時代は変わって現代、東京に暮らす皆実の弟・旭は家族に内緒で度々家を開ける。心配した娘の七波は友人・東子とコッソリ父の後を追うのだが・・・


【感想】
平成16年度文化庁メディア芸術マンガ部門大賞・第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、こうの史代女史の同名タイトルコミックを映画化。監督は「半落ち」「出口のない海」の佐々部清氏。
原作コミック未読に加え、正直言うと佐々部氏の作風って肌に合わない。かなり微妙〜な気持ちで鑑賞ですが。

映画は原爆投下13年後の広島を舞台にした「夕凪の街」が第一部、それから半世紀後の現代を舞台にした「桜の国」が第二部という二部構成の作りになっています。

「夕凪の街」は原爆によって家族や友人知人を亡くし、自らも被爆してあの惨劇を目の当たりにしたものの、死ぬはずだった自分が生き残ってしまったという罪悪感に苛まれ「私は生きているべき人間ではない」と自分を責めている・・・原爆によるトラウマに悩む女性の生き様を見せている。
「桜の国」は現代の話で、夕凪の街の主人公の弟家族が中心。既に老境に入った弟が誰にも告げずに故郷・広島に向かうのを密かに尾行していた娘が、父の足跡を追う事によって自分の家族が背負ってきたもの・自分自身のルーツを探り思いを馳せる・・・という構成になっています。

この手のネタに日本人は弱い。
更に映画冒頭には「広島のある 日本のある この世界を 愛するすべての人へ」なんてテロップが入る。
これは来ましたねー!泣かせますよー!先の大戦絡みでも、特に原爆関連のネタには日本人は滅法弱いですね?

確かに泣かせ映画なんですが・・・映画としては正直イマイチ、と思った。←また結論言っちゃったヨ(^-^;

まず「桜の国」の展開って、ちょっと雑過ぎやしませんか?
「ボケたか?それとも老いらくの恋でもしたか?」と父親を疑って尾行したのがきっかけの七波が、ただ父親の足跡を辿っただけでは自分のルーツに思いを馳せるに到るまでのヒントは得られないだろうと思う訳です。
墓参りのシーンがあるので自分の身内にどうやら原爆で若くして亡くなった叔母がいた事は確認出来ているものの、それ以外の場面では「父親が誰か古い知人と話をしている」のを視認しているだけで、どんな会話がされているのかは七波には確認出来ていないハズ。

突然過去の回想シーンに七波が現れて、過去の様子を七波がそっと眺めているというショットが入る。
「ここはファンタジーだと思って脳内補完よろしくー♪」というお約束を提示しているんだろうと推察しますが、せめてもう少しだけでも七波自身が「ああ、こういう事だったのか!」と思い至れる程度の直接的なエピソードを入れなければ、余りにも適当過ぎやしないか?と思えてしまう。

それから「夕凪の街」編なんですが・・・
「原爆投下後の様子」の表現方法がちょっと手ぬるいような気が。もしかしたら映画の予算的にCGや実写を撮るだけの余裕がなくて仕方なくこういう方法を取ったのか?とも思うのですが、それにしてももう少し映像的に観客に訴えかける方法はなかったのだろうか?と思うと、アピール度に欠け過ぎて勿体無い。

それより何より、映画中の皆実の心の叫び?のセリフには正直不快感を持ちました。
彼女はいよいよ自分の命のともし火が消える時に心の中で語りかける。そのセリフを全部ココに書くのは控えるけど、簡単に内容を要約すると「原爆を落とした奴ら、私が死んで喜んでるのかなー?」みたいな感じ。
それ以前にも似たような主旨の独白セリフがあって、もうこれはぴよ的に全く理解出来なかった。

実際に被爆された方は皆こんな風に思ってるんでしょうか?
ぴよには被爆二世の知人はいますが、直接被爆した人から話を聞いた事がないのでここの所は判りません。でも事が起こったのは戦争という非常時での出来事で、原爆投下した敵国の兵士だって物凄いトラウマを抱えているハズです。
この皆実の独白セリフは余りにも配慮を欠いてると思わざるを得ない。そしてもし本当に被爆された方々がこんな風に自分の事を思っているとしたら・・・こんなに悲しく空しい事はない。

「原爆の悲劇」を見せるには、この表現方法もまた効果的だったのかもしれないけど、個人的には好きではないです。
ただ、これもまた事実のヒトツなのかもしれない。被爆者達の心の叫びなのかもしれない。そう思うと「不快感」だけで済ませてはいけない、そこからもう一歩踏み出して考えなければいけない問題なのだ、という事は強く感じます。

でも映画作品として考えると・・・正直もう1つ入り込めない作りでした。
やっぱりぴよは佐々部監督とは相性が良くないらしい、という事だけは本作で確信出来ましたね(苦笑)







 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加





 < 前の作品  INDEX  あいうえお順INDEX  次の作品 >


ぴよ [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加