監督:松本人志 出演:松本人志 竹内力 UA、他 オススメ度:☆☆−
【あらすじ】 ひっそりと暮らす「大佐藤」は、実は「6代目・大日本人」として防衛庁から依頼された特殊任務で生計を立てていた。かつて祖父の時代は世間で持てはやされて随分と裕福な生活を送っていたようだが、今では大日本人に対する世間の目は厳しく生活も決して楽ではない。そんな大佐藤に密着取材をしながらその生活振りを追っていく。
【感想】 ダウンタウンの「松ちゃん」こと、松本人志氏の初監督作品。 ・・・というだけだったら多分見に行かなかったと思うけど、今年のカンヌ映画祭の監督週間部門に正式招待されて上映された事で随分話題になりましたね。何だかんだのカンヌですから〜これは見ておいて損はない?
実は本作の予告編も見た事がなければ、どんな内容の話なのかも全く予備知識を入れずに鑑賞しました。 だから映画冒頭の長い長いインタビューシーンにあくびが出る事数回。「大日本人」とは何を指しているのか?どういうジャンルの作品なのかもさっぱり判らず、ただ漫然と時間だけが流れるのが退屈で退屈で・・・
まあ、結果から言えばかなり笑わせてもらったんですが。 それにしても、コレが本当にカンヌで上映されたんですか?何故数ある邦画作品の中から本作が取り上げられたのか、見終わった今もカンヌの選定基準がよく判らないですよ(苦笑) コレ・・・はっきり言って「内輪ウケ」「TVのお笑い番組コント」の延長でしかないよね?(^-^;
まさか映画冒頭に語っていた「折畳み傘は必要な時に大きくなる所が好きなんですよ」ネタが、大日本人の本質に迫る伏線だったとは思わなかったので、ココは「なるほど。よく考えてるじゃん」なぁんて思ってたんですがね、それにしても正直言って「金取って人に見せるレベル」とは到底言い難い・・・映画としてはB級とも言えない作りだったと思う。 まあ、この手のバカ映画にしては微妙に「(怪)獣との丁々発止シーン」に金が掛かっているので、確かに通常のTV番組で放送するには予算的にムリはあったんでしょうけど、それにしてもコレが松ちゃんが映画化したかった内容なのかと思うと何とも情け無い感じがしますよ。
こういう作りなら単に馬鹿笑い出来るだけにしちゃってもよかったんじゃないか?と思うんだけど、敢えて深読みすると北朝鮮と日本の関係やらアメリカとの力関係等を匂わせてネタにする辺りはあざとい。 深読みさせて「単なるバカ映画」にしないゾ、という空気は出してるものの、だからと言ってそこに松ちゃんの思想や主義主張が大いに表現・反映しているのかと思いきや、そういう訳でもなく「単なるネタ」に終始している感じがまたズルいなぁ〜と思うんですが。ここらの作りが映画として半端に感じる一因なのかも?
個人的に大笑いしたのは板尾との対戦かな。 でもコレは映画の作りとして笑った訳じゃなくて、普段TVで充分笑わせてもらってるネタの延長でしかないから、特に評価するべきポイントだとは個人的に思わないですよ。 それより、映画にするにはちとお下品過ぎる表現も所々・・・子供時代のエピソードのくだり、ぴよはあの表現にはかなり不快感がありましたね。それからクライマックスの赤ちゃんを蹴ったり投げて武器にするというのも「タブーネタで笑わせる」つもりかもしれないけど、やっぱり不快でしたよ。
小ネタではチョコチョコと笑わせてもらったけど、映画としてはちょっとね・・・ 本来なら映画ではなく「Vシネ」程度のレベルでしょ。出演者のインタビュー特典映像付DVDとして販売するなら、クチコミでジワジワと人気が出ちゃうような手合いなんじゃないか?映画としては酷評されても仕方ないでしょ、って感じですよ。
結構笑わせてもらったクセに酷評してるぴよもどうよ?と思うんだけどー・・・少なくとも万人に「オススメ」はしませんね。 確かに「B級バカ映画なのだ」と割り切って見ればこれはこれで充分楽しめるんですが、「あの松ちゃんが映画を撮った」というフレコミに過剰に期待して見ると、何とも言えないダメダメ感が漂ってしまうという・・・ ヘタにカンヌなんかで取り上げられるから酷評されちゃうんですよ。カンヌの冠も良し悪しですね。
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