監督:犬童一心 出演:松嶋菜々子 大沢たかお 宮本信子、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 東京の旅行代理店に勤める咲子は、一人暮らしの母が入院したという知らせを聞いて久し振りに徳島へ帰郷した。チャキチャキの江戸っ子でかつて「神田のお龍」と呼ばれた母・龍子の威勢の良さは相変わらずだが、主治医から母が末期ガンだと知らされて戦慄する。独断専行で父の事すら教えてくれない母に寂しさと苛立ちを募らせていた咲子だが、病院で知り合った医師・寺澤の後押しで、母の過去の苦しい恋愛を辿る決意をする。
【感想】 さだまさし氏のベストセラー小説の映画化。 過去にも「精霊流し」「解夏」が映画化されていますね。さだ氏の原作小説を読んだ事が一度もないんだけど、何故か映画だけは全部見ていたりする。(しかも全て試写会ってのがまたセコい。苦笑) 「解夏」に登場していた大沢たかおクンが本作でも登場。確かに彼はさだ氏の小説キャラにとても似合うんだけど、もしかしてさだ氏は自分と大沢たかおクンってキャラ被ってるぅ?って勘違いしてるんじゃ・・・と心配になる今日この頃(笑)
予告編を見れば「末期ガンの母親の過去の恋愛(不倫)を探るヒューマン」だと誰もが察しが付きますが、勿論それが一番大きな柱になっているとは思うものの、それ以外にも「献体」という珍しいネタがテーマにもなっていました。 「献体」ってご存知ですか?知らなくても本作を見れば説明してくれるので、映画見てお勉強しましょう(^-^;
まー、とにかく宮本信子さんはスゴイ! 宮本さん演じる「龍子」は神田の生まれのチャキチャキ江戸っ子(美空ひばりの歌の歌詞みたいだな)、訳あって東京から徳島に移住して(コレは作品中のネタなので理由は書きません)徳島市内一の評判の料亭のおかみをしていたという設定なんですが・・・ホントにチャキチャキだ!すんげーカッコイイ!! 完全に主役の菜々子嬢を食っちゃってましたね。と言うよりも映画の内容を考えると菜々子嬢は狂言回し役で、宮本さんが主役と言ってもいいと思うな。うん。
宮本さんが異常な程のオーラを発しているので、菜々子嬢はちょっと分が悪い。 慣れない徳島弁はたどたどしい感じだし(いや、徳島弁を知らないのにこの言い方は良くないか)、大沢クンもかなり身長は高いと思うんだけど、それにしても菜々子嬢はデカい。2人のラブシーンなんてどうかすると大沢クンの方が背が低く見えるくらいデカさがやたら目に付くよ。演技も「いつもの菜々子ちゃん」ですしね・・・でも可愛いからいいや♪(をい)
話の内容自体は結構予想通りの展開なんだけど、王道泣かせヒューマン物として良く出来ていたと思いましたね。 阿波踊りのシーンが圧巻でした。ちょっとムダに踊りを見せるシーンが長過ぎる感はあったものの、この映画を見ると徳島に旅行に行きたくなる率がかなりアップしますので「ご当地映画」としては充分アピール出来てると思ったな。
母の過去の恋愛のあらましを、彼(咲子の父)との書簡を読む事で再現されているのですが、映像も古っぽく作って見せてくれていて叙情的でこの映画のカラーに合っていて良かった。 父と対峙するシーンも・・・夏八木サンがまた上手いんだなぁ〜!菜々子ちゃん、また食われちゃったじゃーん(^-^; 本作、キャスティングは完璧でしたね。菜々子嬢の事を辛らつに書いてますが、彼女も本当にキャラは合ってましたよ。
映画の前半、「献体ネタ」の中である説明があるのですが、見ていて「コレは何かあるな」と思っていたものの、その後の展開と宮本サンのため息モノの熱演と阿波踊りの熱気ですっかり忘れちゃってて・・・ラストシーン、すっかり忘れてたネタが登場した時には不覚にも涙がこぼれてしまいました。 長い間確執のあった母子関係、知られざる母と父の悲しく切ない恋、そして今ある自分。それらが全て氷解して1つになるその瞬間を切り取ったかのようなシーンでした。
「不治の病系のありきたりで地味なヒューマン物」だと言ったらそれまでですが、日本人の琴線に触れる作品です。 とにかく宮本さんの熱演ありき、ですね。龍子役を彼女が演じなかったらこれ程泣けなかったかもしんないっ!
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