2007年04月25日(水) |
ユアン少年と小さな英雄 |
監督:ジョン・ヘンダーソン 出演:オリバー・ゴールディング ジェームス・コスモ グレッグ・ワイズ、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 19世紀中期のスコットランド・エディンバラ。旧市街の貧困地区に住むユアン少年は、警察官ジョン・グレンが飼っているテリア犬の「ボビー」と大の仲良しだった。ところがグレン氏が病死してしまうと、ボビーは主人が埋葬されている教会の墓地に入り込み、主人の墓を守るようになった。教会は犬の立入りを禁止しているので管理人は何度もボビーを追い出すものの、決して諦めずに主人の墓を守る姿に、次第に周囲の感動を呼び人気犬となるのだが・・・
【感想】 19世紀にスコットランドに実在し、ご当地では教科書にも載る超有名犬「ボビー」の史実を脚色し映画化したもの。 過去にディズニーが1961年にこの犬を題材にした映画を製作しているそうですが、本作の方がボビーの周囲の状況をより史実に則った形で再構築してあるそうです。ただしタイトルにもある「ユアン少年」のキャラクターは完全な創作人物。
「忠犬ネタ」というのは世界共通で人の感動を呼ぶものです。 日本でも「ハチ公」が今も渋谷駅前で銅像となって主人の帰りを待っていますが、本作のボビーもエディンバラに銅像が建っているらしいです。英雄が銅像になるのは世界共通なんですね。
ボビー伝説自体は「主人の死後14年間もの長い間、主人の墓を守り続けたアッパレな犬」という事らしいですが、既に肝心の主人が亡くなってからがネタなので「主人と犬の心温まる交流」部分を見せる事が出来ない・・・という訳で、本作はド貧乏な上不遇な身の上だが賢い少年「ユアン」という創作人物を登場させて、「少年+犬」というこれまた王道感動動物モノという態を取りながら、少年をとりまく環境・・・当時の貧困層の実情だったり、貧困地区の改善を訴える教区の牧師と町の有力者達の対立等を盛り込んで、単なる「お子向け動物モノ」にはしないぞ!という気概を感じさせてくれます。
気概は感じさせてくれるんだけど、どうもピンと来ない。←また吠えかよ(苦笑)
ただ墓守してるだけの犬の話じゃー面白味もなければ感動も出来ないという配慮なのか?様々なエピソードを差し挟んでいるのですが、それぞれのネタが肝心の「忠犬ボビー」との繋がりを余り感じさせずに空回りしている感じ。 特に悪玉の町の実力者達が何故あそこまでボビーを目の敵にするのか、映画を見ていてよく判らない。自分達の悪行を貧困地区の住民達がボビーに絡めて風刺しているらしい?のですが、たったそれだけの事であそこまで躍起になってボビーを捕らえようとするというのはどうも合点がいかないんですよね。
ボビーの忠犬振りが市民の間で評判となって、やがて新市街(富裕層)からも見物客が押し掛ける様になるというのが本来この映画のオチに対する一番のミソだと思うのですが、枝葉のどうでもいい?エピソードを盛り込んで見せる事に頑張り過ぎたのか?新市街にまでその評判を轟かせたという肝心の「ボビーの忠犬振り」をアピールするエピソードがまるでなかったのは痛いと思う。突然降って湧いたように「ボビー観光客」が現れるので、あんた達いつの間に評判聞いたんだよ?と、思わずツッコミ入れたくなる(苦笑)
多分、本作の作りでもご当地の方々が見れば物凄く判り易くて感動的な話なんだろうと思うんですが、当時のエディンバラの貧困層の実情と歴史やボビーの「英雄伝説」自体を全く知らない日本人が見ても、この映画が訴えている部分に全く共感も出来なければ感動も出来ないし・・・正直「訳が判らない」 スコットランドの子供達には判り易い話かもしれませんが、日本のお子様は見ても理解出来ない可能性大。
だから少なくとも「日本人のお子向け」という作りではないし、かと言って「大人向け」とも言い難い。 最低でもスコットランドの歴史、エディンバラの歴史、ボビー伝説自体を多少は勉強してから見る事をオススメしますね。
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