監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート スカーレット・ヨハンソン、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 1940年代のロス。共に元ボクサーだったリーとバッキーの両刑事が、ロス市警のPR試合で戦う事になり急接近する。その後先に昇進していたリーから引き抜かれてバッキーは特捜課に抜擢され、リーとコンビを組むようになった。私生活でも仲良くなった2人は、リーと同棲しているケイと3人で過ごす時間が多くなる。そんな折、女優志望の女性が残忍な姿で殺されるという猟奇殺人事件が発生。この事件に深くのめり込むリーだったが・・・
【感想】 1947年に実際にあった迷宮入り事件「ブラック・ダリア事件」を元に、「L.A.コンフィデンシャル」の著者ジェイムズ・エルロイ氏が書いた同名タイトル小説の映画化。 これをその独特の映像の美しさからコアなファンも多いデ・パルマ監督がメガホンを取り、更に主人公のバッキー役を今ヒトツ垢抜けないものの、妙に母性本能をくすぐる「子宮にダイレクトに響く役者」として名高い(←コラコラ)ジョシュ・ハーネット君が演じています。
そんな訳で本作ですが。 もうとにかく伏線が長い&多過ぎる。話が入り組み過ぎてるし、登場人物の人物相関図も掴み難い。 ずーっと「誰がどーなってんだぁ?」と把握が出来ずにイライラしっぱなし、でも一定の緊張感は持たせつつ話が進行して行くので、ギリギリ眠たくなる程のストレスは感じずに、でも結局サッパリ訳が判らずに延々話が続くのです。 それが、リーが昔ムショに叩き込んだある犯罪者が出所して来たトコロで、一気に話がジェットコースター状態に進む。
実は、この「リーが昔ムショに叩き込んだ男」が出所した段階で起こった、ある事件の一連のシーンを見た段階で、館内からしびれを切らした観客が途中退場して行きました。 その方の気持ちは痛い程よく判ります。何故ならこんな予想外の展開(通常の映画ならコレで話は終わりだろう)が起こった段階でも尚、タイトルにもなっている肝心の「ブラック・ダリア事件」に関してはほとんど何も動きがないのです。 どーでもいいようなエピソードが延々続いていたのに、こんなオチぢゃー意味不明だよぅ!とその方はお怒りになって席を立たれたのだろうというのは、本当によく理解出来ます。実はぴよも「なんぢゃよ。こりゃ」と思って見てました。
ところがどっこい! 一旦話が中途半端に終わりそうな気配を見せた後が凄かった。 とにかく今までさっぱり訳の判らなかったエピソードが、あれよあれよと言う間に「ブラック・ダリア事件」と、この事件に深入りして行ったリーの知られざる横顔の暴露編に繋がって絡まって点と点が結ばれて、まるでらせん状の太い一本の糸のように話が組み合わさって行く訳ですよ。
何故だかぴよはこの怒涛の「ネタ収束編」を見ながら、DNAの塩基配列を思い起こしていました。 あながち当たらずとも遠からずというイメージ映像でしょう(苦笑)
そんな訳で、結果的に言うと「リーとバッキーがコンビを組んでから」起こるエピソードやちょっとしたセリフ、一見するとまるで意味のないようなシーンの隅々まで、一瞬たりとも気を抜かないできちんと見ていなければ面白味は半減どころか全く面白くない映画になってしまう・・・しかし意味がサッパリ判らなくても気合を入れてきちんと見ていた人だったら「ほぉー。よく出来たオチぢゃないか」くらいには思えるという、何かの修行のような展開の作品になっていました(笑)
少なくとも「暇潰しに映画でも見るかぁー」程度の気持ちの脱力状態の方にはオススメ出来ないです。 この映画を鑑賞しようと思ったら、相当気合を入れなければダメです。 そしてジョシュには何故か種馬の魂が憑依しているのです!←コラ しかもずーっと魂は種馬で特捜課刑事としては「まるでダメ男」だったハズなのに、ある時点から突然シャーロック・ホームズだかポアロだか名探偵コナンだかの魂が光臨してしまうのです!
ジョシュの魂の変遷がこの映画最大のミステリーなのですっ!! ←フザけ過ぎだっちゅーに(苦笑)
|