ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年10月06日(金) 手紙

監督:生野滋朗
出演:山田孝之
    玉山鉄ニ
    沢尻エリカ、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
両親を早くに亡くし、兄弟2人で生きていた武島剛志・直貴だったが、直貴を大学進学させてやりたい兄の剛志は学費捻出の為にある家に泥棒に入り、誤ってその家の独居老人を刺し殺してしまう。兄が殺人犯となった直貴の人生は転落の一途を辿る。大学進学を諦め、何度も引越し、職を転々と変え、夢だったお笑い芸人の道も絶たれ、恋人も去った。しかし直貴を支え続けた由美子とようやく掴んだ幸せが更に脅かされた時、遂に直貴はある決心をする。


【感想】
直木賞作家・東野圭吾氏の同名タイトルベストセラー小説の映画化。
東野圭吾氏の作品は文庫化されたモノは全て読んでいますが、本作はまだ読んでませんでした。ってか、実はこの映画を試写会で見た日に文庫本が発売されたんですよね・・・来週早速買って来て読みます(笑)
キャストはTBS製作のTVドラマ「タイヨウのうた(←見てないから知らないけどなー)」でタッグを組んだ山田孝之君と江尻エリカちゃんコンビ+兄の剛志役を玉山鉄二君が熱演。

結構、と言うかかなり重たいネタですね。
身内に犯罪者がいるという人達が、どんな差別や迫害を受けるのか。どんな気持ちで生きていかなければならないか。
罪を犯した人は、刑期を服役すればそれで贖罪になるのか。家族を殺された被害者はどんな気持ちで生きていくのか。

映画前半〜中盤、直貴が兄の犯した犯罪によって理不尽過ぎる程の差別や迫害を受け続けるくだりは、はっきり言って余り乗れませんでした。
そもそもぴよ自身が「殺人者本人だけでなく、その家族もまた何がしかの社会的制裁を受けるのは仕方がない」という考えの持ち主だからというのも大きいですが、直貴もそこまで人目を忍ぶ生き方しててどうしてお笑い芸人なんか目指すよ?というチグハグな印象を受けて、更に彼らのコントが絶望的に面白くないので退屈の二乗(苦笑)

ところが勤めていた電気屋の会長と話し合うくだり辺りから徐々に惹き込まれていって、被害者の家族と面談する頃には完全に作品のペースにハマった!
クライマックスの刑務所のシーンなんて、もうぬぐってもぬぐっても涙が止まりませんでしたワ。

今作、山田孝之君の演技は上手いのか大根なのかちょっと疑問だなぁ〜と思ったんだけど、玉山鉄二君のあの拝む姿と俯いて鼻水垂らして涙する横顔には完全にヤラレましたよ。
玉山鉄二君は基本的には刑務所で作業してたり、弟からの手紙を待ち侘びている寂しい姿、それから自分の書いた手紙をナレーションしているだけの比較的地味な演技だったんですが、手紙のナレーションも良かったですね。被害者家族に当てた最後の手紙のナレーションなんて、淡々としてるのにジーンと来ましたよ。

本作は殺人の加害者、加害者家族、そして被害者家族の魂の救済と再生という事がテーマになっているようですが、少なくともこの映画の事件当事者達の魂は救われて再生していくのだろうなぁ。よかったなぁとは思った。

でもネ、実際は違うと思うんですよ。
この映画のケースは稀でしょ。殺人は確かに最悪の罪だけど、剛志は愉快犯でもなければ最初から家人を殺す目的で家に押し入った訳でもない。服役しながら自分の罪を見つめて必死に償おうとしている。
この映画を昨今頻発している少年凶悪犯(しかも快楽殺人or反省の色なしのバカタレ)の加害者家族が見て「そうだ!私達は救われるべき人間なのだ!」なんて勝手に盛り上がってもらっちゃー困ります。

要するに、この映画は誰の立場に立って観るかで随分印象が違うんじゃないかと思いましたね。
家族や縁者に殺人の加害者も被害者もいない人(が一番多いでしょう。もちろんぴよもそうです)が見れば、当然だけど主人公の直貴の視線で見て、直貴と彼の兄の心の救済を望むでしょう。そして本作を見て涙するでしょう。
もし家族や縁者が殺人の被害者になってしまった人が見たら・・・とても受け入れられる内容ではないと思う。

賛否両論あるでしょうし、この映画を見た人の多くは「殺人の加害者家族までも迫害するのは間違っている」と啓蒙されるだろうと思うのですが・・・この映画を見て散々泣いたクセに、ぴよは今もやっぱり「殺人加害者の家族もまた、罪を背負って生きて行くのは当然だ」というスタンスなんです。映画は所詮映画、現実は現実って事ですね。






 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加





 < 前の作品  INDEX  あいうえお順INDEX  次の作品 >


ぴよ [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加