2006年08月27日(日) |
イルマーレ(2006・米) |
監督:アレハンドロ・アグレスティ 出演:キアヌ・リーブス サンドラ・ブロック ディラン・ウォルシュ、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 シカゴ市内の病院に勤める事になった医師のケイトは、湖畔に建つ家から引っ越す事になった。次にこの家に住むであろう住人にあてて家のポストに手紙を入れて立ち去ったケイト。ところがその手紙は、ケイトがこの家に住む前の住人アレックスの元に届く。初めはいたずらか?と思っていたアレックスだが、何度か手紙をやりとりしている内に、どうやら2006年のケイトと2004年を生きているアレックスが文通しているらしいと2人は気付くのだった。
【感想】 2000年に韓国で製作された同名タイトル映画のリメイク。 ちなみに2000年版は見てます。結構面白い設定だけどツッコミどころ満載で(特にタイム・パラドックスについて)見終わった後に一緒に見ていた友達と大激論になったので、とても印象深い作品でした。 リメイク版の本作では「スピード」以来12年振りにキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが共演しています。
そんな訳で、本作ですが。 まず思ったのは「うまい具合にリメイクしているなぁ!」という事。
2000年版もかなり面白かったしホロリとさせられたんだけど、やっぱりタイム・パラドックスの点を考え出すと絶対にどこかで齟齬が生じる訳です。 本作もやっぱりタイム・パラドックスを考えると絶対に辻褄は合わないんだけど、現実問題じゃなくて映画の中だけのルールというのを設定していて、そのルール設定を映画の中でエピソードに盛り込んで、観客をかなり強引に納得させるように仕向けています。
そのルールを顕著に表すエピソードが、ケイトが湖畔の家に生えていた木を懐かしむ手紙を読んだアレックスが、2006年にケイトが住んでいるハズの地番の街路に木を植えに行くというモノ。 本来のタイム・パラドックスならアレックスが木を植えた時点で2006年には既に木は生えている事になるので、ケイトが「あの木が懐かしい」という手紙は存在しない事になってしまうが、映画ではアレックスがケイトの手紙を読んで木を植えた途端、2006年のその場所には今まで何もなかったのに一瞬にして木が生える。
要するに、過去を変えると過去を変えた瞬間にその後の未来が全部変わる訳じゃない。 アレックスがケイトの手紙を受けて過去を変えるが、あくまでも未来変化は2006年のケイトの時間軸でしか動かない。だからケイトとアレックスが文通を始めてから起こった2人に直接関わるエピソードは、その後過去を変えても変更されないし記憶が改変される事もない。 でもパーティーシーンと、それから映画序盤のあの事故はどう考えればいいのかな。うーむ。ま、いっか。←をい ・・・無茶苦茶なルールではあるけど、少なくとも2000年版よりはずっとタイム・パラドックスに関するストレスは少ない。
とりあえずこのルールを適用すると、2000年版とはラストシーンを絶対に変えないと説明が付かなくなる。 (要するに、2000年版はラストシーンのお陰で鑑賞後に友達と大激論になった訳ですヨ。苦笑) という事で、本作はラストシーンが2000年版とは異なる。コレが「うまい具合にリメイクしたなぁ!」と思わせた訳です。
設定やエピソードを2000年版から微妙に変更したり、2000年版にはなかったエピソードを盛り込む事でタイム・パラドックスに対する一定のルールを設けたり、より2人が惹かれ合って行く様子を自然に見せようとふんだんに工夫されている。 結果、「過去の人間と現在の人間が文通する」という基本ネタはうまく消化させつつ、ハリウッド映画らしくお金をジャンジャンかけて映像にもこだわって、ゴージャスにグレードアップさせる事に成功していると思う。
リメイク版というのは結構評判が悪い事が多いですが、ぴよは2000年版よりも本作の方が好きですネ。
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