ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年07月30日(日) ゲド戦記

監督:宮崎吾郎
声の出演:岡田准一(アレン)
      手嶌葵(テルー)
      菅原文太(ハイタカorゲド)、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
人間とは別世界で生きていたハズの竜が現れて共食いを始めた多島海世界“アースシー”。この世界の異変の原因を探るべく旅に出た大賢人「ハイタカ(ゲド)」は、父王を刺して逃亡したエンラッドの王子「アレン」に出会い、成り行きで共に旅する事になった。ハイタカと旧知の女性「テナー」の家に身を寄せた2人だったが、テナーの家に身を寄せる少女「テルー」は、心に闇を持ち生きる気力を失ったアレンを激しく非難するのだった・・・


【感想】
説明するまでもない、ジブリの最新作。
原作は有名な小説だそーですね。それを映画化する辺りの事情にも色々エピソードがあるそーで、そこら辺りの事情は色んなサイトで情報が提供されてますので、お知りになりたい方はサクッとぐぐって頂くとして。
タイトルはかなり前から知ってましたが、原作は未読です。だから映画だけを見た感想になりますよ。

と、前置きをサクサクしたトコロで。

世間では酷評の嵐が吹き荒れているみたいですが、「それ程悪くもないんじゃない?」というのが率直な感想。
もっとも「それ程むっちゃくちゃ悪くもないが、決して良くはない」という程度なんですが(苦笑)

本作は長尺の話の中の一部分を切り取って映画化しているそうなので、当然だけど説明不足になるのは否めない。
ぴよも映画見てて「そもそも父王を刺す理由は?」「本当の名前ってどういう意味よ?」「タイトルと内容合ってねーよ」等とツッコミを激しく入れまくっていたんですが、見終わって話が全くワカラナイという程でもなく、爆睡する程つまらない訳でもなく、溜息が出るほどショボい映像だという訳でもなく。
「ジブリ作品」だという最低限のクオリティを死守した作りにはなっていたんだろうなぁ、とは思えたんですよ。

ただ、最低限のクオリティを死守はしていたと思うけど、本当に「最低限」でしかなかった。
確かに絵はキレイだけど、動きはすこぶる悪いとしか言いようがない。ジブリはイラスト事務所じゃなくてアニメーション制作会社なので、動きに手を抜いたら評価する訳にはいかないと思う。

本作で一番不満だったのはこの点。
コレは吾郎氏のこだわりなのかは不明だけど、本作の背景がほとんど水彩画のような「絵画」になっていて、それにセル画のキャラクター諸々の動きが被るように作られている。
美術的に評価が高いのかどうかはともかく、ぴよにはこの「水彩画背景+セル画の動き」に違和感があって、物凄く好意的に評価しても「猛烈に美しい舞台人形劇」にしか見えなかった。

それからもういい加減に「タレントに声優をやっていただく」というのは止めたらどうだろう?
本作の声のキャスティング、合ってますか?ぴよにはすんごい違和感ありましたよ。岡田クンは可愛いけど、正直言って声で微妙な心の動きや揺れを表現出来ていたとは言い難いし、テルーの声をやった手嶌葵ちゃんという新人さんは、歌は確かに上手だけどセリフは完全な棒読み。

菅原文太サンは流石の貫禄ですが・・・彼の声は「ゲド」の絵よりももっと老練な感じがする。もう少し年齢の若い方に声を当ててもらった方が絵と声がしっくり来たんじゃないだろうか?
ピタリとハマっていたなぁと思ったのは田中裕子サンと香川照之サンくらいか。ってか香川サンはスゴイな。
ラストのスタッフロールを見るまで、ウサギの声は脇役だからプロの声優さんを使ってるんだとばっかり思ってたヨ。

作品が押し出したい「メッセージ」は、イヤという程登場人物達が勝手にド喋ってくれるのでアホでも判りますし、世界観や登場人物の背景等の説明が全くないので「?」連発ですが、まあ話の大筋は理解出来る程度には作られているので、原作モノを無難にまとめたんだろうなぁ、くらいには思える。

でも、そこそこ無難には作ったんだろうなぁ・・・とは思えるものの、少なくともアカデミー賞を受賞した会社が製作した鳴り物入りの新作ならば、もっともっとクオリティの高い映像と脚本を求められて当たり前だと思う。ジブリはジャパニメーションの質に対して自覚と責任を持つべきだと思う。
これがジブリの作品じゃなければ「そこそこの出来なんじゃない?絵もキレイだし」くらいは言ってもらえるだろうけど、観客は世界に名を馳せるジブリの新作だと期待して見に来ている訳だから、この作りや絵では酷評されても仕方がない。

ピクサーが一作毎に絵のクオリティをUPさせているのに比べて、ジブリは一作毎に質を落として行く。
「天才・駿」は自分の才能だけしか信じられない職人で、ジブリを企業として育てる気はなかったらしい。だったら駿が監督をしない作品をジブリで製作しても意味がないと思うんだけどな。
駿自身に後継者を育てる気がないなら、駿の才能の泉が枯渇したトコロでジブリはその生を終えたのだろう。

オリジナルストーリーで駿が新作を作れない限り、ジブリに未来はないのだろうなぁ。
そして駿にやる気のなくなった今、ジブリにはやっぱり未来などないのだろうなぁ・・・と悲しくなりましたね。






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