監督:森田芳光 出演:佐々木蔵之介 塚地武雄 常盤貴子、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 ビール会社の開発員の兄・明信と、小学校の教務員の弟・徹信の「間宮兄弟」は、都内のマンションで2人暮らし。スコアを付けながらの野球観戦、テーマを決めて楽しむビデオ鑑賞、2人でお散歩したり紙飛行機を飛ばしたり、夜は「反省会」も開く仲良し兄弟だ。ただ「恋人」がいればもっと楽しいかもネ・・・と、徹信は兄の為に小学校の同僚教員「依子先生」と、行きつけのレンタルビデオ屋の店員「直美ちゃん」の2人を誘って「カレーパーティー」を企画するのだが。
【感想】 江國香織氏著の同名タイトル小説の映画化。お約束通り「原作未読」でーす(苦笑) 予告編を見た時から「お♪コレは最近流行りのゆるゆる癒し映画ですネ♪」と期待してた1本。でも実は森田監督の作品とはあまり相性が良くない(単にぴよの好みじゃないんだろう)ので、一抹の不安もあったのですが・・・
予想通りのドンピシャ「ゆるゆる癒しモノ」でしたね。 いわゆる「何も展開しない系」で、ずーっとどうでもいいエピソードと小ネタが積み重なって、何となくほんわかした優しい気持ちになれる、かも?・・・というヤツです。 ←微妙な表現ですな(^-^; 先日同様のタイプの作品「かもめ食堂」を絶賛しましたが、本作は「かもめ」とはちょっとまた違うな、という印象。
主人公の間宮兄弟は、簡単に言っちゃうと「30代独身キモオタ兄弟」ですね。←コラコラ 世間の婦女子から思いっきり「OUT OF 眼中」な手合いです。よく「すっごくいい人なんだけど、ちょっとねぇ〜・・・」と言われるような「お友達にはなれても、それ以上の関係は金貰ってもムリ」という手合い。 イマドキの若い乙女達なら、もしかしたら「こんなおっさん兄弟、友達すらなれねーよ!」くらい言いそうです(苦笑)
で、このキモオタ兄弟なんですが、そもそも2人で充分幸せにやってるんですよ。 時には落ち込む事があっても、それを兄弟が慰め合って非常に楽しく暮らしている訳です。 映画では「でも彼女がいたらもっといいよねー♪」と迷走するものの、やっぱりオネーチャンには全く相手にされない、相手にされなかったけど今までだって幸せだったから別にいーじゃん♪と自己完結・・・という話になってます。 むしろこの兄弟のどちらかに彼女が出来たら、今の幸せがぶち壊しになるんじゃねーの?と思いますけどネ(笑)
「かもめ食堂」と大きく違うと思ったのがこの点ですね。 元々充分幸せで、それ以上のモノは何もなく、スタート地点から一歩も動かずに話が終わる訳です。 ダレるかダレないかギリギリのタイミングで「プッ」と笑わすネタを挿入して行くんだけど、間宮兄弟はやっぱり間宮兄弟のままで(当たり前だけど)成長もなければ後退もない。 すごく好意的に受け取れば「何も変わらない事の幸せ」を噛み締める、という感じでしょうか。
「だから何が言いたいん?」と聞かれるとぐうの音も出ない・・・でも「こんな兄弟、羨ましいな♪」くらいは思える。 羨ましいな♪と微笑ましく見ているものの、冷静に考えると「30代独身キモオタ兄弟」という微妙なキャラ(笑)
でも、この間宮兄弟のキャラクターのいいトコロは「落ち込みはしても卑屈にはならない」という部分でしょ。 彼女にフラれても「どうせ俺なんて・・・」というベクトルには向いていない。開き直って「俺達今だって幸せぢゃん♪」で満足していられるという部分に、きっと観客はホッと出来るんでしょう。 生々しい「30代独身男性の嘆き」なんて聞かされたんぢゃー心穏やかでいられません。あり得ないくらいに世間ズレしてなくておっとりした兄弟の様子が、「ファンタジー」として成立し得るんでしょう。
変わらない事がいい事なのかどうかはさておき、微妙にノスタルジック感をくすぐってくれる小道具が冴えてます。 ぴよは「癒されるぅ〜♪」とは思わなかったけど、きっと本作を観て癒される独身男性は多いでしょう(笑)
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