2006年05月20日(土) |
ダ・ヴィンチ・コード |
監督:ロン・ハワード 出演:トム・ハンクス オドレイ・トトゥ ジャン・レノ、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 仕事でパリを訪れていたハーバード大学教授ラングドンは、パリ市警の刑事にルーブル美術館に呼び出された。そこには夕刻会う約束をしていたのに会えず終いだったルーブル美術館館長の奇怪な様子の死体と、謎の暗号、そしてラングドンの名前が記されていたのだ。殺人犯の疑いを掛けられたラングドンだったが、館長の孫娘で市警の暗号解読官のソフィーに助けられて難を逃れる。果たして館長の残した暗号を解読して行く2人だったが・・・
【感想】 祭りだ!祭りだぁー!!全世界同時公開、今年1番の話題映画ですよー! いつもなら「原作未読です」と書くのがお約束ですが、本作に関しては映画化が決まる前に原作本を読んで、すげーハマりにハマって副読本まで買っちゃったクチ。公開を楽しみにしてましたー♪ ・・・の一方で、耳に入ってくるのは「カンヌ映画祭で上映されて散々コケ下ろされた」という声。
果てさて、その真相はいかに?・・・と多少危惧しながらの鑑賞でしたが。
まず、この映画を見る大前提として「必ず原作を先に読んでおく事」 少なくともキリスト教の教義、キリスト教にまつわる歴史、キリスト教のカルト派の諸説等々に詳しくない方は、必ず原作本を読んで内容を理解してから見なければいけません。(まあ、ほとんどの日本人はコレに当てはまるでしょう)
とにかくめっちゃくちゃ展開が速いです。 しかもネタは日本人にあまり馴染みのない「キリスト教のカルト派閥絡み&キリスト教で最もタブーなネタ」、更にその耳慣れない様々な語句や歴史の説明が、あれよあれよという間にスルスルと会話の中で語られて、観客を置いてきぼりにしてどんどん話が進んで行っちゃいます。 原作を読まずして、この映画を見ただけで内容をスルリと理解出来た人・・・ぴよは相当尊敬しちゃいますね(笑)
かなり忠実に原作を映画に起こしているんですが、逆に言えば「原作のダイジェスト版」でしかない。 ハードカバー上下巻、文庫本で上中下巻というかなりの分量の小説を、たかだか2時間半に収めようとすると、当然だけどあらすじを追いかけて行くので精一杯になってしまうんですよね。 要するに、原作本で読者がワクワクした「肉付け」部分を全部バッサリと切り落としているんです。 もっと簡単に言っちゃうと「全く面白味に欠ける」んです。
ぴよがこの小説にハマった最初の入口が、館長が残した謎の暗号を解読して→「モナリザ」→更に「岩窟の聖母」にたどり着くまでのくだりだったんですよ。要するにこの小説の一番の面白さは「どういう思考展開で暗号を解いていったのか」、この点が最も大きいと思うんです。
ところが映画版は「早く先に進まないと2時間半で話が終わらなくなっちゃう!」とでも言いたげで、この小説がこの先どんどん面白くなる入口のクエスチョンを、物凄いスピードで瞬く間に解いてしまう。 それは最初のクエスチョンに留まらず、この小説を最も面白くさせてくれる全ての暗号解読を、何の逡巡もなくとにかく流れ作業的に次から次へとサクサクと解いて行ってしまう。
肝心の「最後の晩餐」に関するくだりもサラサラーッと流し、とにかく説明と話の筋を追うのでいっぱいいっぱい。 結果「小説の旨味成分を取り去って、残った骨だけしゃぶらせてもらう」という、何とも味気ない作りになってしまった(涙)
でも原作本を読んでおけば、「活字で読んで頭で想像しただけの景色を映像化してくれる」という楽しみがある。 原作を読んだだけでは想像し切れなかった建物や風景の様子を、具体的に「絵」として見せてくれる。 そういう「原作ファンのおさらい編」として見るには、とても良く出来ていたと思いますね。それに配役も原作本を読んだ時に頭で想像していた風貌やイメージに、ほぼ合っていたと思います。
そんな訳で、この映画は「原作ファンのおさらい編」として活用しましょう。 原作を読んでいない方は、必ず原作を読んでから見に行く・・・どうしても原作を読みたくないなら、DVDレンタルになるまで待った方がお金の無駄遣いにならずに済むでしょう(苦笑)
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