監督:荻上直子 出演:小林聡美 片桐はいり もたいまさこ、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 フィンランド・ヘルシンキの街角にオープンした「かもめ食堂」は、日本人女性サチエが1人で切り盛りする小さな食堂だ。毎日コップを磨いて客を待つものの、開店1ヶ月にして客はゼロ。そんなある日、日本かぶれの現地青年「トンミ」が第一号の客として現れた。トンミはサチエに「ガッチャマンの歌詞を全部知りたい」と言うのだが、「誰だ!誰だ!誰だぁー!」の次がどうしても思い出せないサチエ。そんな時、ある本屋で日本人女性「ミドリ」に出会ったのだ・・・
【感想】 群ようこ著の同名タイトル小説の映画化・・・と言うよりも、まず映画の企画があって、群ようこ氏が映画脚本用に小説を書き下ろしたらしい。 主要メンバーは上記の3人ですが、このキャストを見るとどうしても「やっぱり猫が好き!」を連想してしまうのは、きっとぴよだけではないハズ。室井滋サンの代わりに片桐はいりサンが、あの独特のキャラで存在感をアピールします。
ってか・・・超ツボにキター!
この作品、ハマった人最強ですヨ。 逆にハマらなかった人には「ナンデスカ?コレ」ってな調子でしょう。評価の落差が激しそうな作品です。
何故かフィンランドのヘルシンキに食堂をオープンした日本人女性サチエと、たまたま偶然出会っていつの間にかサチエの店を手伝うようになった、これまた「あんた達どーしてフィンランドなん?」と首を傾げたくなるような理由でこの地にやって来たミドリとマサコの3人が織り成す「平凡な日常」をまったりと見せる・・・ただそれだけの作品。 ちょっとしたエピソードの繰り返しで、特に何か劇的な事件が起こる訳もなく、恋愛もなく、アクションもなく、人が死ぬ事もなければ濡れ場がある訳でもない。本当に「ないないづくし」なのに・・・めっちゃツボに入った!
3人のキャラクターがそれぞれ絶妙で、不思議な間とテンポが妙に笑わせる・・・笑わせるとは言っても、コメディ映画みたいにぎゃははは!みたいな笑いぢゃなくて「プッ」とか「クスッ」程度のささやかなにんまり♪程度。 この「プッ」「クスッ」の間合いが本当に気持ちよくて、映画を見てるだけで妙に幸せな気分になれるから不思議。
食堂の話なので、当然だけど食べ物がふんだんに出てくるんだけど、「かもめ食堂」のメイン料理は「おにぎり」 どうしておにぎりなのか?は劇中に説明があるからココに書くのは控えるとして(その理由ってのがまたちょっぴり幸せな気分になれるいい話なんだなぁ)、他にも「豚の生姜焼き」「焼き鮭」「トンカツ」等のありふれた日本食のオンパレード。 一応洋食メニュー?としてシナモンロールもありますが、とにかくどれもこれもめちゃくちゃ美味そう! 撮影スタッフは食べ物が美味しく写るように、相当気を遣ったんじゃないでしょうか?
店内の内装やサチエの自宅の雰囲気もとっても趣味が良くて、居心地が良さそう♪ それぞれの役者の衣装も雰囲気を大切にしていて、キャラクターとイメージがぴったり合う。カップや雑貨、小道具まで手を抜かずにこの作品のスローテンポでまったりしたイメージに合わせて、オシャレだけど妙に落ち着くといういいチョイス。
何がどういい・・・と、ちょっと言葉にするのが難しいんですが、とにかく心が温かくなる。ちょっぴりいい気分になる。 こういう雰囲気の作品って、邦画ならではだよなぁ〜と思いますよ。日本人のメンタリティにぴったり合うんですよね。 中途半端に金掛けて大作映画を気取ったって、所詮邦画はハリウッドの巨大資本には勝てないんですから、もっと本作のような「邦画だからこそ作れる日本人のメンタリティに合う優しい作品」をどんどん作ってもらいたいものです。
この作品を見ると、おにぎりが絶対に食べたくなりますよぉ〜 ・・・実言うと、今「おかかおにぎり」を作って食べながらこの感想書いてました(笑)
|