監督:スコット・デリクソン 出演:ローラ・リニー トム・ウィルキンソン ジェニファー・カーペンター、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 19歳の大学生エミリー・ローズは、ある日突然激しい痙攣と幻覚症状を訴えるようになった。何かに取り憑かれたと感じた彼女は教区のムーア神父に相談、ムーア神父は悪魔の仕業だと感じて悪魔祓いを試みた。ところが悪魔祓いは失敗し、更にエミリーは衰弱死してしまう。ムーア神父はエミリーの医療行為を中断させて、治るハズの病気を死に至らしめたとして過失致死罪に問われた。敏腕女性弁護士エリンがムーア神父を担当する事となったのだが・・・
【感想】 実際に起こった「悪魔裁判」を映画化。 キャッチコピーも「この映画はホラーではない。実話である」「この裁判は初めて悪魔の存在を認めた」等と奮ってますヨ 悪魔どころか神の存在すら全く信じていないぴよです。おこんにちは!(をい)
本作、確かにキャッチコピー通り「ホラー」ではありませんでした。 正直言って全く怖くない。予告編が一番怖かったかもしんない・・・これは明らかに「法廷サスペンス」ですね。 いわゆる「ホラーちっく」なシーンというのは、全て法廷内で語られる証言者のセリフを観客に「再現映像」として見せるという趣向で、それも物凄く真面目に作られています。
だから面白味にイマイチ欠ける。←いきなり何を言うか(^-^;
この物語(法廷劇)の鍵は「悪魔は存在するのか・否か」だろうと踏んでいたんですがね、決してそうとも言い切れない。 これまたキャッチコピーのセリフ「悪魔の存在を認めた」と吹いてますが、決して悪魔の存在を認めた訳ではなく、もっとずっとトーンは低くて「悪魔がいる可能性を否定出来るか・否か」程度なんですよね。 「悪魔は存在しないと断言出来ますか?出来ないなら存在する可能性を認めた事になるよネ?」程度なんですよ。 だからクライマックスで弁護士のエリンが必死で陪審員を説得しますが、どーにもパンチが足りない。
そもそも、そのエリンとムーア神父が主張する「悪魔に取り憑かれた説」というのも、映画を見ている観客は証言者の言っている事を映像として見ているので「この映像が実際のモノだったとしたら、そりゃー悪魔の仕業に違いない」と思えるのですが、法廷に出廷している陪審員達は口頭だけで映像を見ている訳じゃないんですよ。 もし自分が陪審員で、この話を口頭で聞いただけだったら・・・信じられますか?(^-^;
せめて登場人物の誰か(エリンが一番適当だろう)が、確実に悪魔の存在を肯定出来るような証拠的体験をして、コレは科学では証明しようがない・ましてや精神病である訳もない!くらいのパンチの効いたエピソードを入れてくれれば、もう少し観客に対して信憑性を感じさせたり面白味も出たんじゃないかと思うんですがね。 この作品が提示した「エリンが悪魔の存在を信じる気持ちになったかも?」程度のエピソードでは何とでも屁理屈付けられますし、実際映画中でも一番のキモになった「悪魔祓い録音テープ」が完全に論破されちゃいましたよ(苦笑)
もっと積極的に「悪魔の存在」をアピールして欲しかったんですよ。 観客は「初めて公の法廷という場所で、悪魔の存在を肯定したのだ!」という部分に衝撃を受けたいんですから。 「悪魔の存在を法廷で公式に認めるのはちょっとね・・・でも私達は心情的に認めてるから、こういう灰色判決でどぉ?」 ・・・コレが事実かもしれませんが、映画として観客にアピールするには余りにお粗末じゃないか?と思うんですわ。
事実に忠実である事は、とても大切な事なのかもしれない。 だけど余りに丁寧に真面目に作り過ぎたが為に面白味がなくなったら「映画」として成功したとは言えないでしょ。 出演している役者の演技が本当に素晴らしかっただけに、本当に勿体無いなぁ〜と思う。
思い切って・・・法廷でエリンの体がねじくれ曲がっちゃったら面白かったのになぁ〜(こらこら)
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