監督:河野圭太 出演:大沢たかお 松雪泰子 深澤嵐、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 東京から北海道に引っ越して来た太一は、ある日母ぎつねとはぐれた子ぎつねに出会った。カメラマンの母親が仕事で海外にいってしまい、母の恋人である獣医・矢島の家に一人預けられた太一は、子ぎつねに自分を重ね合わせて飼いたいと切望する。とこらが子ぎつねには脳に障害があり、視覚も聴覚も嗅覚もなかったのだ。「まるでヘレンケラーのようだ」という矢島の言葉を受けて「ヘレン」と名付け、ヘレンを母親の元に戻そうと努力する太一だったが・・・
【感想】 春休みに向けて続々と「お子向け映画」が公開になりますが、本作はそんなお子向けモノの今春大本命の一作か!? 元ネタはキタキツネの生態調査の第一人者で、写真家・エッセイストの竹田津実著「子ぎつねヘレンがのこしたもの」 この感動の実話を大胆に脚色し、オリジナルストーリーに仕立て直して映画化したようです。
そもそも「動物がメイン」の話は、お子様をターゲットにしているので話がゆるい。 でも話がゆるくなくちゃー子供は着いて行けないから、ストーリーのゆるさに文句を垂れてはいけないのだ。でも余りに子供にターゲットを絞っても大人はダレで仕方ないので困ってしまう・・・そこのバランスが難しいですよね。
てな訳で本作。 いきなり思いっきりファンタジーな「絵本もどき」のCG?アニメ?が登場したので「ぐはー!完全にお子様にターゲット絞って来ましたかぁ〜(涙)」と薄く悲しくなったものの、その後持ち直して何とか大人も楽しめるレベルになりましたネ。 むしろ映画を見終わった後は「導入部分はどうしても設定の説明が多くなってガキに飽きられ易いから、あれくらいお子向けファンタジー画像でガキのハートを掴んでおくのも手かもしれん」くらいには思えたし。
原作がキタキツネの生態調査の第一人者が書いたものだからなのか?それとも製作側の配慮なのか?単に「小さな動物は可愛い」「キタキツネの子ってこんなにフワフワしてて・・・ほら、みんなで触りたくなっちゃうでしょ?」みたいな、一方的な「小動物信仰」を煽るような描き方をしていなかった部分は非常に好感が持てましたネ。 子ぎつねを拾って来た太一の体と子ぎつねをまずくまなく洗って、キタキツネが人間にもたらす悪影響についてきちんと矢島が説明して「俺がいいと言うまで絶対に触るな!」と厳しい口調で諭すシーンが出てくる。 病院に持ち込まれた野生動物を「ペット扱い」しないで、怪我が治ったらきちんと自然に帰すというシーンも出てくる。
「可愛い」だけで動物を飼って、飽きると簡単に捨てるという風潮。野生動物の可愛らしさに、つい手持ちのお菓子等を与えて餌付けしてしまう無責任な観光客。そういう人間のエゴがどういう弊害をもたらすのかという部分がもっとクローズアップされていれば、グッと大人向けの作品になっただろうと思うんだけど・・・そもそも本作はそういう部分がメインテーマではなさそうなので(所詮お子向けですし)、言っても詮無い事ですわなぁ(苦笑)
で、結局ネタが親子愛や命の尊さ・慈しむ心の育成と成長みたいな、動物モノ映画のセオリー通り「文部科学省推奨」系のお子様に是非進んでお与え下さいモノになっている訳ですが、それでも大人が見ても充分泣けます! ってか、クライマックス前辺りからウルウルし始めて、お約束通りクライマックスでは号泣ですよ! 動物モノのクライマックス(しかもこの状態の子ぎつねですしねぇ)なんてネタバレバレだって自分でも判ってるけど、それでも泣けて泣けて仕方ないのが動物モノのお約束。「泣き映画」御所望の方にはバッチリだぜっ!
結構太一のセリフや行動にカチン☆と来たり、太一のおかんの能天気なキャラに一人ツッコミまくりでしたが(苦笑)、子供が見て命の尊さや慈しむ心の部分に何かを感じてくれれば問題ないんじゃないっすか?←いい加減なヤツ(笑)
大人が見て今更啓蒙される部分はありませんが、殺伐とした社会を生き抜くお子様達には是非勧めたい一作。
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