監督:ロマン・ポランスキー 出演:バーニー・クラーク サー・ベン・キングスレー ハリー・イーデン、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 19世紀英国。孤児で救貧院に連れて来られたオリバー・ツイストは、仲間を代表して食事の量に不満を訴えた事で救貧院を追い出され、葬儀屋に奉公に出された。葬儀屋での不当な扱いに耐えられなくなって逃げ出したオリバーは、7日間かけて100Km以上離れたロンドンに辿り着いた。たまたま出逢ったスリの少年に助けられ、食事と寝所を与えてくれるスリ団の元締め「フェイギン」に拾われたオリバーだったが・・・
【感想】 「戦場のピアニスト」でオスカー取りまくったロマン・ポランスキー監督最新作。 誰もが一度ならずもタイトルを聞いた事のある、ディケンズの名作「オリバー・ツイスト」を映画化・・・って、既に何度も映像化されている名作を、どうしてわざわざ21世紀の今またしても映画化したのかよくわかりませんが。
まあ当然ですが、前作「戦場のピアニスト」が大ウケだったので本作の期待も思いっきり高まる訳で。 予告編の作りもイカしてましたよねー♪・・・って書き方で、もう何が言いたいのか想像つくと思いますが(苦笑)
非常に無難でフツーの「金の掛かった映画」、ただそれだけでした。←今日も相変わらず吠え
簡単に言えば、「美少年は人生の勝ち組」という話です。 誰でも美しいモノには優しい気持ちになれる。「美人とドブスのどちらを助けたいか?」と聞かれれば、見た目だけで選ぶとすれば100人中99人は美人を選ぶでしょ?(たまにカルトなフェチがいるから、100人全員とは言わないがね) 要するに「見た目がいいヤツは、どんな状況下でも不細工より絶対得をする」という事ですよ。
多分オリバー君は、見た目通りのとても清らかな心を持った少年だ・・・という設定なんでしょう。 ですが、ぴよは見ていて特にオリバー君が人並み外れた清廉潔白な少年だとは思わなかったし、むしろ自分だけオイシイ思いにありつけるチャンスが巡って来ると、それまでの恩を忘れて自分の過去をザックリと切り捨てる「世渡り上手な少年」にしか見えませんでしたが。
自分だけいい思いをしているオリバー君を、助けたフェイギン達が利用しない訳がない。だってオリバー君は、それまで散々フェイギンを慕っていたし、彼からスリのテクニックを嬉々としてレクチャーしてもらっていたんですよ? 金持ちの家にまんまと潜入出来たオリバー君を、強盗の手引きに使おうとしたフェイギン達に何の落ち度があろうか。 むしろフェイギン達にしてみれば、金持ち宅に潜入したオリバーを「でかしたゾ!」くらいに思って当然でしょ(笑)
まあそんな訳で、ぴよにはオリバー君への共感度は極めて低かったです。
時代考証や映像の美しさと緻密さは、さすがロマン・ポランスキー監督です。 内容度外視で美術やセットに関してだけ言えば、それはそれは素晴らしい出来の作品だったと思いますね。 ただ、この平坦で退屈で共感も思い入れも持つことの出来ない「昔名作だと言われた作品の焼き増し映画」の、美術以外のどこをどう評価すればいいのか・・・
オリバー役の新人子役「バーニー・クラーク」君は掘り出し物でしょう。 確かに彼は可愛らしいです。幼児フェチの方なら見て損はないと思いますネ(をい)
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