監督:スティーブン・ギャガン 出演:ジョージ・クルーニー マット・デイモン ジェフリー・ライト、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 CIA諜報員ボブは、息子の大学進学を機にキャリアに終止符を打つ決意をする。野心家弁護士ベネットは、アメリカの巨大石油会社合併の調査を依頼され、某社に優位になるように遁走する。エネルギーアナリストのブライアンは、ある事件がきっかけでアラブの石油王ナシール王子の相談役となる。パキスタン人青年ワシームは中東の油田に出稼ぎに来ていたが、石油会社の合併騒ぎで一方的に解雇され、生きる希望を失いかけていた・・・
【感想】 ソダーバーグ監督「トラフィック」のメンバーが再集結して作った、全米を震撼させる驚愕の社会派サスペンス。 監督・脚本はトラフィックでアカデミー脚本賞を受賞したスティーブン・ギャガン氏。勿論製作にソダーバーグもクレジット。 トラフィック同様、本作も全く別の場所でそれぞれ違う思惑で動いている人間達をバラバラに見せ、全く関係のないハズの登場人物達が微妙に絡み合って、最終的に「石油の利権」という大きなうねりに呑み込まれるまでを描いて行きます。
まあ・・・一言で申し上げるとですね、
すんげー判りにくい!
最終的に何が言いたいのかは勿論判るんですが、とにかくそこに辿り着くまでが見てて疲れる!疲れる! 全米では衝撃的なネタらしい?んですけど、言っちゃ〜何だが「こんな事、知らない人が本当にいるのかよ?」と思うくらい当たり前の「世界の常識@巨悪の米国」を題材にしているんですよね。
これはごくごく個人的な感想なのかもしれませんが、最近立て続けに「イスラム教」「コーランの教え」に関する書物を読んでいたので、パキスタン人青年のエピソードのくだりは非常に興味深く見ていましたね。 本作、アメリカさんが作った映画にしては「イスラム教徒」「イスラム原理主義」に関して非常に丁寧に、そして好意的に描かれていたんじゃないかと思ったのですが。
コレ書くと世界中から非難轟々になりそうなんだけど・・・ 最近イスラム教に関する書物を色々読んでいて、彼らの主張にすごく同調している自分がいるんですよ。イスラム教って元来とても素晴らしい教義でしてね、確かにテロというのは絶対にやってはいけない行為ですが・・・ぶっちゃけ「アメリカ同時多発テロ、やられてもしゃーないんちゃうん?」くらいの気持ちになっちゃってましたから(^-^; 「アメリカなんてなくなっちまえ!」と、イスラム教徒やアラブ各国の皆さんが呪ったって仕方ない状況と理由がある。
その、「アメリカなんてなくなっちまえ!」と呪われる状況と理由を「判りにくく」説明してくれている作品だな、と(笑)
「トラフィック」の時は、あのバラバラに提示したエピソードが「麻薬」という大きな1つのうねりに呑み込まれて行く様子が非常にドラマティック且つ衝撃的だったんですが、本作はそれが単なる「ドキュメンタリータッチ」の枠を出ない。 ダラダラとエピソードが流れるだけで、全く衝撃もなければドラマ性にも乏しかったように思う。
世界中の(アメリカ国民以外の?)誰もが知ってる常識ネタを見せているんだから、どれだけドラマティックに「映画」として楽しませてくれるんだろう・・・と期待が大きかっただけに、コレはちょっといただけませんヨ。
まあ、回りくどい「ブッシュ政権批判映画」だと言うとドンピシャなんですが(苦笑) 本作を見て、イスラム教の教義やコーランについて少しでも興味を持ってくれる人が増えれば、そして彼らに対する偏見が少しでも減れば、もしかしたら何か違う動きが米国内で今後起こるかもしれない?・・・起こらないか(^-^;
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